[MOM4850]神戸U-18FW大西湊太(2年)_歓喜爆発のイエローカードはご愛嬌!悔しさをエネルギーに変えた今季初ゴールが6連勝を呼び込む決勝点に!
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ] [9.28 プレミアリーグWEST第16節 神戸U-18 2-1 神村学園高 いぶきの森球技場 Cグラウンド] 【写真】「金髪美少女」「一段と可愛く…」「アカンやつ」元なでしこ岩渕真奈さんのモデル姿に称賛殺到 それはもちろんいつだってスタメンで出たいけれど、自分には自分に与えられた役割がある。やるべきことを整理し、はやる気持ちを整えて、途中出場のピッチに足を踏み入れる。でも、もう決めていた。今日は必ずオレがヒーローになってやる! 「もちろんスタメンじゃないことに悔しい想いはありましたけど、途中で出るからには結果を残そうと思っていました。ゴールはもちろん嬉しいですけど、これからもっとそういう場面を作っていかないといけないなと思うので、ここで満足せず、もっともっと貪欲に狙っていきたいと思います」。 ジョーカー起用に応えた今季プレミア初ゴールは、チームに貴重な白星をもたらす決勝ゴール!ヴィッセル神戸U-18(兵庫)のアグレッシブなサイドアタッカー。FW大西湊太(2年=ヴィッセル神戸U-15出身)の溜めに溜めたエネルギーが、いぶきの森のピッチで爆発した。 準備はとっくにできていた。神村学園高(鹿児島)と激突したプレミアリーグWEST第16節。ホームゲームを戦う神戸U-18は、前半のうちにFW吉岡嵐(3年)のゴールで先制。1点をリードしたものの、後半は盛り返したアウェイチームが攻勢を強める中、15分を過ぎるとアップエリアの大西にベンチから声が掛かる。 「監督には『前節の反省点や課題点をしっかり整理して、その時間帯でするプレーに注意しながら、オマエの持ち味をピッチで出してくれ』と言われましたし、自分ではスプリントのところだったり、ドリブルで相手のバックラインを崩していくことを狙っていました」。 チームを率いる安部雄大監督は、今週のトレーニングで大西と個別に話をしていたという。「前節の時にちょっと『自分だけみんなに遅れたくない。点を獲りたい、獲りたい』というのが出てしまって、もちろん前線の選手なので、そういう気持ちは必要なことですし、大事なことなんですけど、そこはバランスですよね。今週は少し彼とも『自分が点を獲ること以外にも、貢献できることってあるよね』という話をしました」。 リードした状況での登場は前節と一緒。自分の結果は狙いつつも、まずはチームのためにできることを全力でこなす。やるべきことを整理し、はやる気持ちを整えて、途中出場のピッチに足を踏み入れる。 後半28分。サイドアタックから失点を喫し、神村学園に追い付かれる。振り出しに戻ったスコア。首位を快走する大津高(熊本)との勝点差を考えても、引き分けは負けに等しい結果。ホームチームは苦しい状況に立たされていた。 40分。DF原蒼汰(2年)のクサビをFW渡辺隼斗(2年)が力強く収め、MF濱崎健斗(2年)が左へ展開。MF瀬口大翔(2年)が時間を作ると、その外側を濱崎が回る。いずれも“同級生”たちが絡んで作ったチャンス。大西は仲間を信じて、ペナルティエリアの中に飛び込んでいく。 「濱崎選手が良い感じでクロスを上げてくれて、結構自分のところに来るまで時間があったので、『ちょっとトラップしようかな』という想いも一瞬よぎったんですけど、『ここは思い切り行こうかな』と」。右足のボレーで叩いたボールは、バウンドしながら左スミのゴールネットへ到達。その軌道を見届けた23番は、一目散にピッチサイドへと駆け出していく。 「これまで点を獲れていなかったので、親に対して『やったぞ』ということをメッチャ思いましたね。もうホンマは点を決めたら冷静に行こうと思っていたんですけど、メッチャ昂ってもうて、ちょっと登っちゃったっす(笑)」。観戦に訪れていた両親の姿を見つけると、金網をよじ登って歓喜を爆発させる。 「まあ、彼らしいですね。今日は何も言わなかったですけど(笑)」と安部監督も言及したシーンで、大西に近寄った主審が苦笑気味に提示したのはイエローカード。「大西のゴールは自分も嬉しかったですね。スタメンじゃなくてもサブから大西が入ってきたら勢いが変わったりするので、チームに必要な存在だと思います。でも、アレはちょっと笑っちゃいましたね(笑)」というGK亀田大河(2年)の言葉からも、このチームにおける23番のキャラクターが透けて見える。 そして、このゴールはそのまま試合の決勝点に。「たぶん彼の中で葛藤はあったと思うんですけど、そういうのが爆発したのかなと思っています」と笑顔を見せた安部監督の起用に応える大西の今季プレミア初得点が、神戸U-18に6連勝をもたらす勝点3を力強く引き寄せた。 神戸U-18の2年生たちの多くは、2022年の『高円宮杯 JFA 全日本U-15サッカー選手権大会』で日本一に輝いたメンバーであり、大西も決勝でゴールを決めるなど主力として活躍していたが、U-18に昇格した昨シーズンはなかなかプレミアでコンスタントに出場するまでには至らず、“同級生”の活躍を見守る時間も少なくなかった。 「ちょっと腐ってしまっていた時期もあったんですけど、そこはコーチがしっかりサポートしてくれたので、自分にできることを見つめ直して、自分の特徴をもっと磨いていこうということは意識してやっていました」。 迎えた今シーズンは昨季より出場時間も増え、チームの中でもより大事な立ち位置に。「一緒にやってきた仲間がプレミアに出て活躍しているのは悔しかったですし、自分もそのピッチに立って、そういう仲間を追い抜いていきたいなと思っていたので、ここからもっと仲間や先輩たちにも負けへんような選手になっていきたいなという想いはあります」。味わった悔しさをエネルギーに変換し、さらなる成長への意欲もちゃんと携えている。 ようやくシーズンファーストゴールは奪った。ここからはチームも負けられない試合が続く中で、自分の果たすべき役割はもう明確にわかっている。「やっぱり一番の目標はプレミア優勝で、この2年間は2位という状況なので、こういう苦しい試合で、こういうふうに自分がゴールとかアシストに絡んで、しっかり勝利に貢献して、チームを優勝に導けたらなと思います」。 今シーズンの神戸U-18が誇る、愛嬌十分の愛されキャラ。今度こそプレミアのタイトル獲得を実現させるべく、ここからさらに勝点を積み上げ続けるためには、チームの雰囲気をポジティブに引き上げるような大西の得点に関わる活躍が、間違いなく必要不可欠だ。 (取材・文 土屋雅史)