放置竹林で課題解決、柳谷観音で竹あかりライトアップ 「京都・西山エリア」魅力を発信
花手水(ちょうず)発祥の地として知られる京都府長岡京市の柳谷観音楊谷寺(ようこくじ)で、地域の放置竹林を活用した竹あかり(竹灯籠)のライトアップが16日から始まる。世界遺産・清水寺などで知られる「東山」に対抗する新たな名所「西山エリア」の魅力発信に向けた事業の一環。9日にあった試験点灯では、優しく温かな光に包まれた竹あかりが境内を彩り、訪れた人を驚かせた。 屋根の修理を終えたばかりの阿弥陀堂の前に、竹あかりで作った大きなアーチ2基とハートのフォトスポットが設置された。日下俊英住職は「アーチをくぐって阿弥陀如来のいる西方浄土へと向かうイメージを演出した」。境内の眼力稲荷社の階段は花入りの竹まりと竹あかりで埋め尽くされ、まばゆい輝きを放っていた。 伸び放題で荒れていた放置竹林から切り出された150本以上の竹に、地域住民らがドリルを使ってさまざまな形状の穴を開け、竹あかりを制作した。竹の中のLED(発光ダイオード)が華やかな空間を演出する。 竹あかりのライトアップで地域を盛り上げる「京都西山竹あかり」は今年10月、善峯寺(京都市西京区)で始まった。所有者の高齢化で放置される竹林が地域の課題となる中、西京区役所洛西支所の池島博幸企画係長が竹あかりをプロデュースする熊本県の演出集団「CHIKAKEN(ちかけん)」の存在を知り、協力を要請。竹あかり制作の指導を請うと同時に、放置竹林の整備や有効活用に取り組むNPO法人「京都発・竹・流域環境ネット」の協力を得て、住民参加型のユニークなライトアップにつなげた。 イベントは文化財に付加価値を付けて観光に活用し、収益を寺社の修理に充てる文化庁の事業としても進められた。また府内の一部ではオーバーツーリズム(観光公害)が再燃しており、分散観光の実現に向けた施策としても注目を集めている。 柳谷観音楊谷寺でのライトアップは16~30日の金土日、午後5時~6時半。大人2千円、高校生以下無料。光明寺(長岡京市)では今月16日~12月8日の午前9時~午後4時に竹あかりなどを設置する。(田中幸美)