親子ともに「幸せな中学受験」にする3つの魔法 受験の結果に影響する「親子関係」よくするには
わが子に合った学校選び
最後は、学校選びです。目標とする学校に受からなかった時にその結果を親が引きずり、「こんな学校に行くことになってしまった」とあからさまな言い方をする。進学することになった学校を否定することで、親子関係が悪くなる例はたくさんあります。 4日目まで全敗し、5日目の入試で初めて訪れた学校に行くことになったケースでは、その結果を親が受け止められず、子どももせっかく入学した学校を楽しめずに不登校になってしまったという例もありました。 だから私は一貫して、偏差値だけでない、わが家の学校選びの軸を持つことを提唱してきました。とはいえ、中学受験では相変わらず偏差値の呪縛はきつく学校選びの基準になっています。でも、これまで200校以上の学校を見てきて、偏差値だけに囚われていると、学校選びに失敗する可能性が高いと思っています。 偏差値は、あくまでも入試の難易度を表わす指標に過ぎません。首都圏はとくに学校も多いので、同じ偏差値帯でも、いろいろな学校があります。ですから、単純に偏差値だけでなく、それぞれの学校の特色を見極める必要があります。 例えば、校風一つとっても、管理型の学校もあれば、自主性を尊重する学校もあります。大学進学をゴールにして指導をする学校もあれば、社会に出た後に活躍できるように人間力の育成や探究に力を注ぐ学校もあります。私学は、それぞれに創立者が、育てたい人物像の理想を掲げて作られているので、必ずそこに根差した教育を行っています。 中高時代は、子どもから大人になっていく変化の時期。自分と向き合い、これからの人生の方向を定めていく土台作りの時期です。しかも思春期の葛藤を抱えるので、親より友達や先輩、そして先生など、第3者の影響を大きく受けて殻を破っていく時期です。 それだけに、どんな環境に身を置き、そこでどんな価値観を伝えられ、言葉を浴びるかで大きな影響を受けます。なので、私は、入り口の偏差値や出口の大学進学実績といった数字だけに囚われず、お子さんに合った学校を選ぶことをお勧めしています。 中学受験において、学校選びはほぼ親の仕事です。ただ、「大学進学実績がいい」とか、「偏差値が高くて名前が売れているから」ではなく、お子さんが過ごす環境として、何がベストなのかを考えること。時代の変化と共に、教育も大きく変わってきています。親世代の古い価値観で判断せず、学校がどこをみてどのような教育をしようとしているのかを見極めてください。 そして、いちばん大切なことは、受験する学校はすべて良い学校だということです。たとえ結果的に第一志望の学校でなかったとしても、ご縁をいただいた学校がベストな学校です! 受験は親子で成長できるチャンスです。せっかくの中学受験がお子さんの成長のプラスになるように、体も心も健康に、そしてお子さんに合う学校選びを心がけて、ウェルビーイングな受験にしていってください。 (注記のない写真:Mills / PIXTA)
執筆:教育ジャーナリスト 中曽根陽子・東洋経済education × ICT編集部