親子ともに「幸せな中学受験」にする3つの魔法 受験の結果に影響する「親子関係」よくするには
受験の成功は、よい親子関係が9割
次の魔法は、良い親子関係です。「受験はすべてそうだが、うまくやればその子の人間としての育ちの大事な機会になるが、逆だとしこりが残る」。これは、私の最初の本『後悔しない中学受験』(晶文社)の帯に教育学者の汐見稔幸先生が寄せてくださった言葉です。 ほんとその通りだと思います。私は、かれこれ20年近く中学受験の世界を見てきましたが、お子さんの幸せのために中学受験を選択しているのに、良かれと思ってやっていることが逆効果で、結果的に親子ともに不幸になってしまうケースをたくさん見てきました。 そうなってしまういちばんの原因は、子どもの受験なのに自分の受験になってしまうことです。とくに中学受験は、親が決断して始めるケースがほとんどですし、まだ年齢的に親のコントロール下に置きやすいですからレールに乗せやすい。それが、中学受験のメリットとして語られることも多いです。でも、コントロールがいきすぎると、汐見先生の言うように、しこりが残る結果になってしまうのです。 お子さんの出来が良くて、やったらやっただけ成果が上がった場合、それはそれで「もっとやればもっとできるようになるのでは」と子どもを追い詰めていくことになりかねません。逆に、勉強しているのになかなか結果が出ない場合、「もっとやらせないとどこにも受からない」と親のほうが焦ってしまい、成績が上がらないことを責めたり、夜遅くまで勉強させたり、反対に何をやってもできないと決めつけて放置したり。いずれの場合も、いい結果は出ません。 では、どうしたらいいのでしょう。それは、「できているところを見るメガネをかける」ということです。 皆さんは、お子さんのテストが帰ってきたら、まずどこを見ますか? 点数? 偏差値? できなかった問題? 大抵は、そんなところかと思います。 そして、「どうしてこんな簡単な問題を間違ったのか」と責めてはいないでしょうか? 私たちは、勉強ってできないところをできるようにすることだと教わってきていますし、塾でも学校でも、できていないところを指摘して、できるようにしようとします。 でもこれも間違い。最新の心理学の知見では、人はできないところよりできるところに注目したほうが、能力が伸びるということがわかっています。まあ自分に置き換えてみたらわかると思うのですが、ダメ出しされてやる気が出るでしょうか? 出ないですよね。 私たちは、ついついできていないところに目がいってしまい、そこを埋めたくなります。これをネガティビティバイアスと言い、私たちのDNAに組み込まれているので、ある意味仕方ないことなのですが、だからこそ、あえてできているところを見るメガネをかけて、お子さんのできているところや強みを探してほしいのです。 できたところを認めてもらった子どもは、まず安心します。そのうえで、さらに良くなるためにはどうしたらいいかを考えれば、いろいろな方法が考えつくでしょう。 こういう話をすると、褒めたらもうこれでいいと思って、やらなくなるのではと言う方がいます。でも、そうではありません。 できると思えば、視野が広がり、行動が変わり、結果が変わるから、自尊感情が高まり、さらに理想を実現しようという行動をする。いい循環が起きるから、いい結果を引き寄せられるのです。 私は、最新のポジティブ心理学を学び、ポジティブ心理学コンサルタントとして、ポジティブ心理学と脳科学をベースにした子育て講座を開催していますが、その中で、受験勉強で疲弊してやる気を失っていた子どもが、ありのままの自分でいられて安心して挑戦ができるような環境が整ったことで元気になり、成績も上がって志望校に合格した例はたくさんあります。 これも、親が変わることで親子関係がよくなった結果なのです。ぜひお子さんの良いところを見るメガネをかけて、お子さんの強みを見つけてくださいね。