新たなマイニング大手が誕生──4億ドル投じて異分野から参入の中国企業
50 EH/s
カンゴは、自動車を購入しようとする者に対して中国の銀行がローンを発行する支援を主業務として行ってきた。しかし、2018年に上場した同社は、ビットコイン業界入りする何年も前から事業の多角化を進めていた。 同社は中国から世界各地に対する自動車輸出の支援を始め、中国の電気自動車メーカーであるLi Autoに出資した。その投資に続いて、人工知能(AI)関連の高コンピューティングパワープロジェクトを含む再生可能エネルギー分野でのビジネスチャンスを模索し、その後ビットコインマイニングに参入した。 「ビットコインマイニングは、エネルギー供給網のバランスを取り戻す非常に良い方法だ」とイエ氏は述べ、ビットコインマイナーは簡単にオンとオフの切り替えができるという事実に言及した。テキサス州などの一部の区域では、エネルギー消費量が少ない時期にマイナーに稼働するよう奨励し、熱波や吹雪の発生など地元のエネルギー需要が急増したときにマシンをシャットダウンする運用に対価を支払うことで、その能力を活用している。 ビットコインのハッシュレートは現在823 EH/sで推移しており、同社の50 EH/sが完全にオンラインになると、ビットコインにまつわるコンピューティングパワー合計の約6%を提供することになる。参考までに、TheMinerMagのデータによると、世界最大の上場マイナーであるMARA ホールディングス(MARA Holdings)は、11月時点で47 EH/s強の計算能力を有している。追随するクリーンスパーク(CleanSpark)とライオットプラットフォーム(Riot Platforms)は、それぞれ32 EH/sと26 EH/sとなっている。 「ビットコインマイニング業界における大規模運用の必要性は、この分野に参入するという当社の決定において極めて重要な考慮事項であった」と、カンゴの経営陣はCoinDeskへのメールで述べた。 「業界内の統合が特徴として挙げられるという現状があり、マイニング難易度の上昇と最先端のハードウェアの必要性により、より大規模に運用できればますます優位に立てる。」 同社と他のマイニング大手との大きな違いの1つは、同社が現在独自のマイニング設備を運用していないことだ。マシンは米国、カナダ、パラグアイ、エチオピアなど世界中に分散しており、カンゴは依然として施設やインフラ、そしてサイトの円滑な運営のためにビットメインに大きく依存した状態にある。 「当社は相当のコンピューティングパワーを持ってこの業界に参入したが、まだ新参者であり、規制に適応し、税制や市場の他の領域について理解を深めるには時間が必要だ」とイェ氏は述べた。「だから当初はビットメインと協力し、同社のオペレーションチームを活用することにした。」 イェ氏は、カンゴがこの分野で経験を積み、ビットコインマイニング事業の経済効率化を図るにつれ、状況は時間の経過とともに変化する可能性が高いと述べた。長期的には、社内でマイニングチームを育成する方が、ビットメインの専門性に頼るよりも安くつく公算が大きい。 カンゴが蓄えたビットコインをどうするつもりなのかについては、今年の展開次第だとイェ氏は述べた。「市場の状況に応じて、(ビットコイン保有量を)戦略的に減らす可能性も排除していない」と同氏は述べる。カンゴは11月だけで363.9 BTCをマイニングしており、本記事執筆時点でその額は約3500万ドル(約55億円)相当である。 |翻訳・編集:T.Minamoto|画像:Shutterstock|原文:How Chinese Lending Firm Cango Became a Bitcoin Mining Powerhouse
CoinDesk Japan 編集部