「ディオール」初のメンズクチュール ダンサーのレガシーを讃える24年ウィンター
日本の熟練職人が手掛けたシルバーの打掛
一方で、クチュールの贅沢なルックには舞台上のヌレエフの華やかな存在感が投影され、彼のプライベートにおけるアンティークのテキスタイル蒐集への情熱も映し出された。 特に印象的だったのが、京都の民谷螺鈿が手掛けたシルバーの打掛。これはヌレエフが所有し着用していたものをベースに、最高峰の引箔の技術を使い、10人の職人が3ヵ月かけて完成させたもの。これまでも着物をインスピレーションに取り入れてきたディオールだが、このモダンかつ華やかなルックは間違いなく今回のショーのハイライトとなった。
伝説のアーカイブドレスをメンズにアレンジ
さらに1950年にムッシュ ディオールが考案した「ドビュッシー」ドレスも再解釈。「ドビュッシー」はスパングルが刺繍されたシルクネットのイヴニングドレスで、長年ディオールの顧客であったフォンテインのお気に入りの1着であったと伝えられている。今回はメンズウェアとしてアレンジされ、コレクションに壮麗かつ繊細なタッチを加えた。 ほかにも、イヴ・サンローラン（Yves Saint Laurent）のテーラリングや、ムッシュ ディオールの「バー」ジャケットなどを随所で引用。ディオールのアーカイヴをコレクション全体に取り入れ、新たなスタイルへと生まれ変わらせた。繊細なビジュー装飾をメンズウェアと融合させた手腕は見事だ。
ソフトバッグやカラーソックスを合わせて
アクセサリーで目を引いたのは実用的なソフトバッグ。グレインドレザーを使用したオーバーサイズの「マクロカナージュ」がカメラバッグやバムバッグにあしらわれていた。小型バッグの複数持ちや、モデルたちの耳元で揺れるピアス、ショートパンツに合わせたカラーソックスなどもユニセックスかつモダンな装いを作り上げる。 フィナーレには舞台が回転しながらせり上がり、劇場のワンシーンのような演出でショーが締めくくられた。
NewJeansのヘリンや横浜流星も来場
会場にはグローバルアンバサダーのNewJeansのヘリン（Haerin）やTOMORROW X TOGETHERのほか、リタ・オラ（Rita Ora）、ケイト・モス（Kate Moss）、ニコラス・ホルト（Nicholas Hoult）、チョン・ヘイン（Jung Hae-in）の姿も。日本からはジャパン アンバサダーの横浜流星や北村匠海、kemio、大平修蔵、井上ヤマトらが駆けつけ、ディオールの新作発表を堪能した。
