「生理はなるべく止めたほうがいい」産婦人科医が語る、男も知らなきゃマズイ「生理」の基礎知識
髙橋 T字形のデバイスを子宮内に留置します。その中にジエノゲストと同じように黄体ホルモンが入っていて、それが5年かけてじわじわと出てくるんです。 これによって子宮内膜が薄くなるので、剥がれる所が少なくなり、経血の量も痛みも減る。子宮頸管(けいかん)粘液を濃くして精子の移動を妨げる効果もあるので、避妊効果もあります。 ミレーナ®を入れた人の5人に1人は生理が止まることも。内服薬ではないので内服による吐き気や血栓症のリスクもない。ただ、排卵を止める効果はないので、ホルモンの波はそのまま。そのため、PMSに効果はありません。 ちなみに、これら3つとも月経困難症などの治療目的であれば保険適用内なんですよ。 ――そうなんですね! 話を聞いていたら、PMSや生理痛の程度によらず、ジエノゲストなどを服用して付き合うのがいい気がしてきました。 髙橋 そうなんですよね。当院を受診される40代後半の女性も「生理はキツいけど、あと2、3年の辛抱だから」と話すことが多いのですが、必ず50歳で終わるものではありません。もしかしたら55歳まで生理が続くかもしれません。 また、「修学旅行とかぶってほしくないから生理をズラしたい」と来院する中高生もけっこういますが、月経移動を目的とした処方は治療目的ではないので保険適用外なんです。 しかも中高生はイベントが多い時期ですよね。ズラしたとしても、試験や部活の大会、そして受験と続くわけですから。スポーツのパフォーマンスにも当然影響しますし、月経困難症が重い女性は学校の成績が悪いという論文もある。 私としては、生理じゃないときに発揮できるパフォーマンスが生理のときに発揮できないんだったら、月経困難症の治療をオススメします。 生理は周期も重さも人それぞれ。本人もその周囲の人も、生理との向き合い方を一度考えてみてほしいと思います! イラスト/中村優介 写真/時事通信社 AdobeStock iStock