「生理はなるべく止めたほうがいい」産婦人科医が語る、男も知らなきゃマズイ「生理」の基礎知識
髙橋 はい。ただ、こういう話をすると「生理を止めると体の中に悪いものがたまっちゃうんじゃないか」とか「次に生理が来たときにすごく重い生理になっちゃったりするんじゃないか」っていう心配をされる人がいるんですけど、そんなことはないんです。 生理自体、子宮の負担になっているし、排卵も月に1度卵巣から卵子が卵巣の壁を突き破って出ているので、卵巣に傷がついているんです。排卵を繰り返すことで卵巣がんのリスクが高まるので、妊娠を希望しない間はピルを飲むなどして生理と排卵はなるべく止めたほうがいいです。 昔の人ってたくさん妊娠と出産をしていたじゃないですか。妊娠中とか産後は生理が来ないので、戦前の女性が人生で経験する生理の回数がすごく少なくて、人生で50回くらいしかなかったっていわれているんです。 一方で、現代の女性って平均して一生で450回も生理があるっていわれていて、なんと9倍に増えているんです。それだけ卵巣や子宮への負担も大きくなっているわけです。 ――では、どうやって生理の負担を軽減するんですか? 髙橋 まず、月経困難症の治療法は大まかに3つあります。 ひとつ目はピル。通常、ピルにはエストロゲン(卵胞ホルモン)と黄体ホルモンという2種類のホルモンが入っています。それらが排卵や子宮内膜が厚くなるのを防ぎます。ピルは基本的に1日1錠内服します。 ふたつ目はジエノゲスト。これはピルと違い、エストロゲンが入っておらず、黄体ホルモンだけの薬で、1日に2錠内服する必要があります。ピルは「飲むと具合が悪くなる」というイメージを持たれていたりしますが、それはエストロゲンによる作用が大きい。エストロゲンによって飲み始めに気持ち悪くなったり、頭痛が起きたり、血栓症のリスクが高まったりするんです。 ジエノゲストにはエストロゲンが入っていないので、吐き気や頭痛などの副作用はほぼありません。血栓症のリスクも上がらない。例えば、子供を持つ予定のない40代の人にピルを処方するとなると血栓症のリスクがあるため慎重投与になりますが、ジエノゲストを処方するのは問題ないんです。 ただ、避妊効果があるとはいえません。ピルには99%避妊効果があるのに対し、ジエノゲストはたまに排卵してしまうので、避妊薬ではなくあくまで月経困難症の治療薬。 3つ目はミレーナ®。子宮に直接入れるタイプの黄体ホルモン製剤で避妊もできます。一度入れると5年間は効果が持続し、過多月経や生理痛が重い人の治療になります。 ――直接入れるタイプ!?