共同購入した宝くじが大当たり 億万長者が大量発生したベルギーの村に行ってみた
「聖地」化し、客増える
大当たりした全員を知るバンブロークホーフェンさんを訪ねた。新聞販売所と称しているが、食料品や日用品も手広く扱う雑貨店の店主で、クリスさんを誘ったのも彼だ。宝くじののぼり旗がはためき、窓には2年前の大当たりを知らせる広告がでかでかと掲げられていた。 「共同購入を始めたのはユーロミリオンズがスタートしてから。より多くの固定客を確保し、楽しんでもらうためだ。しようと考える店は少なくないが、透明性の高いシステムを作り、100%の信頼がないと続けられない」という。 毎回では頻繁すぎると、共同購入を企画するのは1等賞金が1億ユーロ以上になったときに限っている。1口の金額は最初は50ユーロと考えたが、高いという人が多かったので15ユーロにした。数字選択は、各人がそれぞれ好きに選ぶと収拾がつかないため、コンピューター任せの「クイックピック」だ。大当たり以前の獲得賞金は、最高で1口約180ユーロ。一方で2.7ユーロ、つまり差し引き12.3ユーロの損という回もあったという。 実は「村で165人というのは正確じゃない」とバンブロークホーフェンさんが明かした。家族分を含め複数口買った人が何人かいたのと、高速道路から近いこともあって、購入者の約半数が村外からの参加者だったためだ。 大当たり以降、「聖地」にあやかろうと村外の参加者がさらに増えたので、最近ではトータル2000口を募っている。「大当たりの直後は大わらわだった。でも、初参加のときに住所、氏名、電話番号、メールアドレスをデータベースに登録してもらうので、2回目以降は時間はかからない」という。確かに客は次々に現れるのだが、有楽町とは違って、レジ前には数人の列ができるだけだった。 訪れた日はちょうど、ユーロミリオンズの抽せん日で、1等賞金は過去5番目に高い2億1388万ユーロ(約367億円)に達していた。クリスさんは5口も買うという。バンブロークホーフェンさんは、「私も買うのかって? メディアは必ず聞くけど、『どうでしょう?』と答えることにしているんだ」とけむに巻く。 店を訪れた客に、大当たりしたら、かなえたいことを尋ねてみた。「家の手入れ」「海外旅行」「もう、勤めを辞めたい」「子どもや孫にあげるかな」……。様々な夢が飛び出した。自転車で40分かけてやってきた人もいた。夢を語るとき、みな笑顔になるのが印象的だった。