京町家で「買わずに作る」暮らし、お金に頼り過ぎない日々は心の余裕にも。
お金に振り回されず、前向きに付き合うための秘訣とは? 日を自分らしく豊かに過ごす手づくり暮らし研究家の美濃羽まゆみさんに聞きました。
自分の手でものをつくることでいざとなっても大丈夫と思える。
築100年の京町家に、夫と2人の子どもと暮らす美濃羽まゆみさん。服のデザインや製作、ハンドメイド教室の講師、さらには3年前に始めたフリースクールの運営など、忙しくも充実した日々を送っている。風通しのよい家に並ぶのは、自らつくったさまざまな保存食や日用品だ。 「節約のためというわけではなく、手を動かして何かをつくるのが好き。自分好みのものにできるのも魅力です。必要なものがあっても買わずに何かで代用できないか考えたり、ひとつで何通りにも使えるものを選ぶようにしています。町家は作り付けの収納が少ないので、置く場所がないんです」 楽しみながら手を動かし、暮らしを整えるうちに、気づけば使うお金も以前よりかなり減った。それ以上に大きかったのは気持ちの変化だと語る。 「自分の手で何かをつくることで、ものを見る目も養われて、いいお金の使い方ができる。お金に頼りすぎないいい距離感が、心の余裕にもつながります。いざとなっても何とかやっていける、そんな安心感を持てるんです」
◎買わずにつくってみる。
野菜や果物を育て、 調味料なども自家製に。
庭ではゆずや南高梅、みょうが、ブルーベリーなどを育てて活用中。味噌や梅干し、コチュジャン、ゆずこしょうなど、自家製の保存食と調味料が日々の食卓を支える。
「町家は風通しがよく涼しいので、保存食づくりに最適なんです」
家にあるもので簡単に楽しくおやつづくり。
おいしそうなおやつは、どれも身近な材料で手軽につくれるもの。娘がつくったという琥珀糖は「寒天と水と砂糖に着色料だけでつくれます」。自家製キャラメルは、バターと牛乳、砂糖を火にかけて溶かしたものを、麩に絡めれば完成。
アクセサリーは自分好みのものをハンドメイド。
市販のピアスやブローチには自分好みのシンプルなものがなかなかない、とボタンなどのパーツやハギレを使って自分で製作。「お店に行っても『やっぱり自分でつくろう』と思い、結局買わずに帰ることが増えました」