アーセナルの3発快勝は納得。サカに自由を与える緻密な仕組み。エース“解放”のカギを握った男とは?【分析コラム】
プレミアリーグ第12節アーセナル対ノッティンガム・フォレストが現地時間23日に行われ、3-0でホームチームが勝利した。その勝因は、さまざまな収穫があったこの試合で、アーセナルが見せた魅惑の攻撃プランに注目したい。相手に対策されている中で、エースFWブカヨ・サカにどのように自由を与えたのだろうか。(文:竹内快) 【動画】アーセナル対ノッティンガム・フォレスト ハイライト
暗雲を吹き飛ばす3発完勝
イーサン・ヌワネリのシュートがゴールに吸い込まれた時、アーセナルは暗いトンネルを抜け出したように見えた。 その理由は簡単だ。最近のアーセナルは、リーグ戦で苦しい試合が続いていたからである。第8節ボーンマス戦(0-2)から第11節チェルシー戦(1-1)まで、直近のリーグ戦では4試合連続勝利無しを記録していた。 まだ前半戦とはいえ、悲願の優勝が遠のいたことは間違いない。だが、チームは昨夜の試合で希望があることを示すことに成功している。先発を大きく入れ替え、ミケル・アルテタ監督にとって「チャレンジしたメンバー」だったが、無事に3-0完勝を収めた。 この勝利には大きな意味がある。まずはリーグ戦で勝利から遠ざかっていた中で、完勝を収めることができたこと。そして、控え組が出場機会を得ることができたこと。そして、チームの未来を背負う神童イーサン・ヌワネリがリーグ戦初ゴールを記録したことである。 プレッシャーのかかるリーグ優勝争いに加わっていく上で、チームの底上げは不可欠。控え組がチャンスを得て、活躍することができた事実は大きな戦果だ。 試合の流れを早々に掴むことができた要因には、ブカヨ・サカを相手の対策から解放できたことが大きいように思う。
良い時のアーセナルは自然と…
チームは早い時間帯で何度も、サカに相手DFとの「1対1」のシチュエーションを提供する、すなわちサカに自由を与えることに成功していた。 アーセナルはどのようにエースFWを相手から解放したのか。そのカギを握るのは司令塔マルティン・ウーデゴールだけではない。サイドバック(SB)が大きな役割を果たしていた。 この試合では、保持時における右SBユリエン・ティンバーの「立ち位置」に注目してもらいたい。 攻撃におけるアーセナルの最終目標は何だろうか。それはサカに良い形でボールを届けることである。背番号7を背負うエースFWに対して、相手チームはダブルチームで対応してくると予想されるため、いかに彼を相手から解放できるかが勝敗を分ける。 2対1でもサカを止めることは至難の業なのだから、対戦相手にとってサカと1対1の場面を作られてしまうことは致命的なシチュエーションだ。右を解き放つ。良い時のアーセナルはこれを自然に達成している。 話を本題であるティンバーの立ち位置に戻そう。オランダ代表DFはサカをフォレストの守備陣から解放するのに大きな役割を果たした。