韓国大統領が戒厳令、国会は拒否 軍介入やデモなどで騒然
Jack Kim Ju-min Park [ソウル/ワシントン 4日 ロイター] - 韓国の尹錫悦大統領は3日夜、YTNテレビの緊急演説で戒厳令を宣言した。韓国で戒厳令が発令されるのは1980年以来。国会は軍隊が突入を試みる中、戒厳令の解除を求める動議を可決。国会前では抗議する人々が集まるなど騒然となった。 尹大統領は演説の中で、野党が国を危機に陥れていると非難した上で、「恥知らずな親北朝鮮の反国家勢力」を撲滅すると主張。これは自由と憲政秩序を守るための措置とした。ただ、具体策については言及せず、北朝鮮からの具体的な脅威についても言及していない。 大統領の演説後、軍は国会と政党の活動を禁止し、メディアと出版業者は戒厳令司令部の管理下に置かれると発表した。 韓国国会は議員300人のうち190人が出席して審議を行い、大統領が発令した戒厳令の解除を求める動議を可決した。議長は戒厳令宣言は無効と宣言した。 韓国の法律では、議会が多数決で戒厳令を解除するよう要求した場合、大統領は直ちに解除しなければならない。 聯合ニュースによると、大統領自身が率いる与党も戒厳令を速やかに解除するよう求めた。 国会の生中継映像には、戒厳令を敷く任務を負っていると思われる軍の兵士らが議事堂に突入する様子や、職員らが消火器を噴射して兵士らを押し戻そうとする様子が映っていた。 戒厳令宣言直後から国会議事堂の外には抗議する人々が集まり始めた。「緊急戒厳令を撤回せよ」と叫ぶ者や、大統領の逮捕を求める向きもあった。 米ホワイトハウスは、戒厳令発令について米国は事前に通知されていなかったと述べた。バイデン政権は韓国政府と連絡を取り、状況を注意深く監視しているとした。 キャンベル米国務副長官も、韓国の情勢を「深刻な懸念」を持って注視しており、いかなる政治的紛争も平和的かつ法の支配に従って解決されることを強く望み、期待していると述べた。