子どもを「やさしい子」に育てるために、幼児期から実践すべき3つのポイント
親ならば、子どもには「思いやりのあるやさしい子」に育ってほしいと願うもの。では、親としてどのようなことを心がけ、子どもと接していけばいいのでしょうか。NPO法人ハートフルコミュニケーション代表理事の菅原裕子さんのお話を紹介します。 【マンガ】集中力が高い子ほど、乳幼児期に体験している「フロー状態」とは? ※本稿は『PHPのびのび子育て』2020年9月号から一部抜粋・編集したものです。
やさしい心を育てよう!
幼い子どもを育てる親に「お子さんにはどんな子に育ってほしいですか?」と質問したら、おそらく「思いやりのあるやさしい子」という答えが上位にあがってくるでしょう。親は、子どもにはやさしい子に育ってほしいと願っています。 ではなぜ、子どもにやさしさを求めるのでしょうか。 それは、やさしく思いやりのある人は、人からも愛されることを知っているからです。人のやさしさはさまざまで、生まれつきの気質によって、そのやさしさの表現は異なります。 道端で高いところに登って遊びたがる我が子に「危ないよ」と手を差し伸べて、怪我をしないように抱き下ろす親、やさしいです。一方で、「見ててあげるから、飛び降りてごらん」と見守る親、やさしいです。 やさしさは人それぞれ。子どもに親の理想のやさしさを求めることはできません。子どもがその子なりのやさしさを発揮できるように見守りましょう。では、どのようにすればやさしさは育つのでしょうか。
やさしい心を育む3つのポイント
・自主性を育む 人は自発的に行動するようにできています。たとえば、3歳児は自分のおもちゃを人に気前よく貸すことは、まずありません。4歳児は自己主張をするようになるため、ケンカをすることが増えるかもしれません。どれもやさしいとは言えません。 ここで、親が「やさしくね」「貸してあげなさい」「ケンカはダメ」と、子どもに無理やりやさしさを求めることは、決してやさしさを育むことにはなりません。子どもはいろいろな経験をして、試行錯誤しながらやさしさを身につけていくのです。 ・やさしさの中でやさしさは育つ 子どもを、やさしい環境の中で育てることを心がけましょう。まずは親子の関係です。子どものやさしさは、親との、安心安全で安定的な絆の中から生まれます。よく声をかけ、笑顔で接し、たっぷりスキンシップをしましょう。 あるがままのその子を受け入れ、他の子と比べることなく、その子自身の成長に焦点を当てます。そして、親が、いろいろな人にやさしくする姿を見せることです。やさしさを見聞きしたとき、子どもはそれをマネるようになります。 ・「やさしさ」と「甘やかし」を区別しよう やさしさと甘やかすことは別物です。何でも「いいよ、いいよ」と済ませることはやさしさではありません。早く遊びたいからと、いい加減な手洗いをする子へのやさしさは、もう一度丁寧にやらせるということです。甘やかしは子どもの機嫌を取る行為で、親は子どもの機嫌を損ねることを恐れているのです。 やさしさは、ただの表面的な感じの良さではなく、本当に自他ともに大切にしようとする態度です。やさしさを育むには、時には厳しさも必要です。