<リオ五輪速報>女子マラソン福士14位、田中19位、伊藤46位の惨敗
リオ五輪の女子マラソンが14日(日本時間、同日午後9時30分スタート)現地で行われ、日本勢は4度目の五輪出場ながら初のマラソン出場となる福士加代子(34、ワコール)、伊藤舞(32、大塚製薬)、田中智美(28、第一生命)の3人が出場したがメダルに届かなかった。福士、田中は、一度はケニア、エチオピア、バーレーン勢の先頭集団に追いついたが、まず田中が遅れ、中間地点を過ぎたところでペースアップされると福士も脱落した。日本の3人は高速レースに対応できず惨敗、入賞もできなかった。福士は14位、田中は19位、伊藤は46位でのフィニッシュ。かつて強さを誇った日本の女子マラソン界だが、アテネ五輪の野口みずきの金メダル以来、3大会連続でメダル無しとなった。 スタート時点での気温は19度。だが、強い日差しが照りつけ、レース開始と同時に気温はどんどん上昇していた。リオ五輪のマラソンコースはスタート地点が、リオのカーニバルの会場である「サンボドロモ」で、歴史的建造物の揃う市街地を通った後に、海沿いの1周10キロのコースを3周して、また市街地からサンボドロモに戻るという独特の設定がされている。基本平坦コースだが、海沿いを吹く風がポイントになる。 序盤は5キロの入りが、17分23秒というスローペース。牽制をしあうオリンピックレースならではの展開だ。先頭集団は30人ほど。日本の3人もしっかりと好位置をキープしていた。だが、海岸コースに出てくると、ケニア、エチオピア、バーレーン勢がペースアップ。D・リンデン(アメリカ)が12人から13人の先頭集団を引っ張り、8.8キロ付近で、日本の3人はその先頭集団から10メートル程度遅れる。 10キロの通過タイムは、34分22秒。ジェブケショ(ケニア)が前に出て、日本勢は第2集団。12キロの給水地点から福士が前を追い第2集団から抜け出す。12.4キロ地点でついに先頭集団に追いついた。第2集団を引っ張っていた田中も、15キロの手前で先頭集団に食らいついた。伊藤は、この時点で20位通過。 先頭がめまぐるしく変わる駆け引きが行われる激しいレースの中、再び田中が20メートル以上遅れた。中間地点を過ぎるところで、元競歩の選手である伏兵のマズロナク(ベラルーシ)が一気にペースアップして、縦長に集団が崩れると、福士もスピードについていけず先頭集団から引き離されてしまった。 先頭の25キロ通過は、1時間26分7秒。ペースがさらに上がる。田中が15位、福士は16位で通過。トップから1分以上の差をつけられてしまった。 27キロを過ぎるとトップ集団は7人、金メダル争いはこの7人に絞られた。マラソンで勝負と言われる30キロ過ぎて、ディババ(エチオピア)、ツェガエ(エチオピア)のエチオピアコンビが仕掛けるが、集団はまだばらけない。35キロの通過でもペースは落ちなかったが、36キロ手前で、アジア大会V、今年の名古屋を優勝したキルワ(バーレーン)がスパート。それを昨年の北京世界陸上覇者のディババ(エチオピア)と今年4月のロンドンを優勝しているママさんランナーのスムゴング(ケニア)が追う。 3人による壮絶な金メダル争いとなったが、39.4キロ地点で、スムゴングとディババの2人が前に出て、スムゴングが少しだけ先頭に立った。40キロ過ぎでディババが遅れ、スムゴングとキルワのデッドヒートとなった。最後の「サンボドロモ」内まで勝負はもつれたが、スムゴングが最後の力をふりしぼってキルワを引き離してケニア勢として初の金メダルを獲得した。銀はキルワ、銅はディババ。 優勝タイムは、2時間24分04秒だった。