韓国の尹大統領「非常戒厳」一夜で失敗 野党は退陣要求「大統領弾劾」準備で〝反日〟警戒 「文政権に逆戻りかそれ以上の反動に」
尹氏をめぐっては、妻の金建希(キム・ゴンヒ)氏の不正疑惑が以前からくすぶり、最近では尹氏の関与も疑われる政治ブローカーとの不正な関係の疑惑が浮上していた。
「韓国ギャラップ」が11月末に発表した世論調査では、尹氏の支持率はわずか19%だった。国会でも野党が半数を大きく超えるなか、厳しい政権運営を強いられていた。尹氏が事態打開を狙って非常戒厳の宣布という強硬手段に踏み切ったとみる報道もあるが、裏には何があったのか。
室谷克実氏「尹氏の〝ご乱心〟か、夫人のスキャンダル絡みか」
韓国事情に精通するジャーナリストの室谷克実氏は「現時点では、国家情報院(韓国の情報機関)が絡んでいるとの情報もなく、真相はまだ分からない。与党も非常戒厳宣言に反対している姿勢をみると、尹氏の〝ご乱心〟としかいいようがない。強いて言えば、韓国国内で反発が強い夫人の一連のスキャンダルによる混乱しか原因が思い当たらない」と話す。
国際社会も事態を注視し、米国家安全保障会議(NSC)の報道担当者は「憂慮すべき非常戒厳を解除し、国会を尊重したことに安堵(あんど)した」との声明を発表した。
だが、韓国社会の混乱は収まりそうにない。
野党「共に民主党」の国会議員一同は4日、「非常戒厳」宣布が「憲法と民主主義を蹂躙(じゅうりん)した」として、尹氏の即刻退陣を要求し、応じない場合には「弾劾手続きに突入する」と表明したのだ。
大統領に対する弾劾決議は国会在籍議員3分の2以上の賛成で可決され、大統領権限が停止される。憲法裁判所がその後、罷免するかどうかを判断する。
松木國俊氏「文政権に逆戻りかそれ以上の反動に」
韓国は今後、どうなりそうか。
前出の室谷氏は「与党にも亀裂が走っており、野党の弾劾案に同調する可能性は高い。憲法裁判所が数カ月かけて審理したうえで、弾劾が認められれば、大統領選になる。今回の件でさらに尹政権の支持率が下がるとみられ、『共に民主党』の大統領が誕生し、左翼政権になる恐れがある。そうなれば対米関係や、韓国経済も大混乱状態になるだろう」と予想する。