「成人脊柱変形症」の初期症状はご存じですか? 原因や治療法も医師が解説!
腰背部の痛みをはじめとする、様々な症状を引き起こす「成人脊柱変形症」。特に近年では高齢化に伴い、「腰曲がり」の患者数が急増しています。症状を重症化させないためには早期発見が非常に重要とのことです。一体、どのような症状に注意すべきかについて、「品川志匠会病院」の光山先生に解説していただきました。 【イラスト解説】背中が痛い! 「背部痛」が教える身体の不調6選 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
成人脊柱変形症とは?
編集部: まず、成人脊柱変形症について教えてください。 光山先生: 脊柱が本来の生理的な形から、大きく曲がった形になることを「脊柱変形」と言います。脊柱変形には、先天的なものや学童期に発症するもの、感染や椎体骨折後、脊椎手術後(固定術後)に生じるもの、加齢に伴う変化が積み重なって変形をきたすものなどがあります。そのなかで、成人期に発症した脊柱変形を成人脊柱変形症と言います。現在、日本では高齢化に伴い、加齢による脊柱変形が増加しています。 編集部: 「脊柱が変形する」とはどういうことですか? 光山先生: 脊柱とはいわゆる背骨のことで、頭側から頚椎・胸椎・腰椎・仙椎という脊椎骨がクッションの役割をする椎間板を間に挟んで、積み重なって構成されています。正常な脊柱は、前後方向に生理的に弯曲することで、少ないエネルギーで立位の姿勢を維持することができます。そして、頚椎と腰椎は前方に、胸椎は後方に弯曲しています。しかし、なんらかの原因により、この弯曲のバランスが崩れ脊柱が大きく曲がってしまう、つまり「脊柱が変形する」ことがあります。 編集部: どのように曲がることが多いのですか? 光山先生: 弯曲は、左右方向へ曲がる「側弯」と、前後方向へ曲がる「後弯」とがあります。特に最近は、高齢者の後弯や後側弯が増えています。高齢者の後弯は、腰曲がりとしても知られ、変形が進むと日常生活に様々な支障を引き起こすことがあります。 編集部: たしかに、腰が曲がっている高齢者を多く見かけます。 光山先生: なかには「年のせいだから仕方がない」と、諦めている人も少なくありません。しかし、腰曲がりが進行すると、腰の強い痛みなどにより立位や歩行を維持できなくなり、日常生活に支障が生じます。