ディズニーのショースタッフがアパレルブランドを立ち上げたワケ
抱える課題は認知度とトレーサビリティ
「カスリキッズ」の販路は自社ECに加えて、「行動したい(している)人の選択肢の一つになりたいと考えたから」と食品を量り売りで提供する大阪府府中市のビオぐるりと福井県初のゼロウエイストショップのグラムに卸している。そのほか、クラウドファンディングのマクアケなどを利用して受注生産を行う。目下の課題は「認知度向上」だ。「エシカル消費を志向する子育て世代の手に届きやすくするため、原価率を約50%としている。そのため基本的に自社ECが販路となるが、認知度を高めるために訪日外国人向けのギフトショップやセレクトショップ、百貨店など感度の高い方に向けてもアプローチしていきたい」と意欲的だ。「将来的にはクラウドファンディングによる受注生産を軸に必要な人に必要な分だけ届けたい」。販売は始まったばかりでマクアケでの購入者への納品は10月末を予定する。もう一つの課題はトレーサビリティだ。「トレーサビリティを担保したオーガニック綿糸で肉厚な生地を作るのが難しい。肉厚な生地を作ることを第一に考えれば他の糸の選択肢もあるかもしれないが、トレーサビリティは譲れない」。端切れのトレーサビリティ実現も難しい。「少なくともゼロから作る素材に関してはオーガニックでトレーサブルでありたい」。
立ち上げ時点で回収スキームを確立しているが仕組み作りは手間がかかるし簡単ではない。「アパレルブランドをやりたくて始めているのではなく、気候危機に対してアクションを起こすため、大量生産大量消費を是正したくて始めたから」。自身も子育てする中であると助かるサービスを実現したともいえる。「手放す先(回収サービス)があることが大切だと考えた。古物商許可を得たので中古販売やレンタルも行う予定だ。いいものを大事に着続ける場を提供したい」。例えば下取りは「再販価格の25%を予定しているというが、ポイントとして付与するのか、下取りはせずに回収のみとするかは検討中」だといい、染め直しは「池田絣工房や富山で藍から育てている企業仲間の『アイヤ(AIYA)』を検討している」という。「気候変動は『カスリキッズ』だけでは解決できる問題ではない。同じ志を持つ方々と協力しながらリジェネラティブな世界を目指したい」。