今季大不振のアルピーヌF1。ただし“素材”は揃っていた? 新技術トップは復活に自信「今のところいい感じ」
アルピーヌは5月に、マクラーレンをわずか3ヵ月で離脱したばかりのデビッド・サンチェスがチームのエグゼクティブ・テクニカルディレクターに就任したことを発表した。 【動画】20年でF1マシンはどれだけ変わった? レッドブル、2005年RB1と2024年RB20を雨のシルバーストンで走行比較 今季アルピーヌはシーズン開幕からマシンのパフォーマンス不足と、スタッフの相次ぐ離脱によって混沌とした状況に陥っていたが、サンチェスは加入時からチームに高いポテンシャルを感じていたという。 アルピーヌはブルーノ・ファミン代表のもと、組織の再編成を進め、サンチェスを頭とした3名のテクニカルディレクターを配置する技術体制を築いた。またマシン軽量化も進め、シーズン中盤戦に入ってからはポイントも連続して獲得。概ね改善傾向にあると言える。 ただサンチェスは、既にアルピーヌには速いマシンに必要な人材や施設、計画などがあったという。 「彼らはとても良い。競争力のあるマシンを作るために必要なモノは全て揃っている。だから、加入した時はとても嬉しかった」 シルバーストンでサンチェスはそう語った。 「外部から来たので、私は自分の意見も持っていた……そういう傾向にあったのは確かだ。でも計画は整っていた。我々はそれを見直し、いくつか調整した。確かに、マシンのアップデートには大きな後押しが必要だ。我々はそれに取り組んでいるし、今のところかなり上手くいっている」 「この体制はどんどん馴染んできている。大きなチームがあるなら、多くの構造が必要だし、現時点では確かに上手く機能しているようだ。昨年、(同じく3名のテクニカルディレクターを構える)マクラーレンはシーズン中に大きなステップを踏むことができた」 サンチェスは、昨年マクラーレンが成功させたシーズン中の大躍進を今季のアルピーヌで再現しようと考えており、マシン軽量化が進んだ今求められるのは空力などの純粋なパフォーマンスアップだという。 「我々はマシンのことをより理解できるようになってきたし、レースごとにマシンの力をもっと引き出そうとしている。ここ数レースは良い傾向だ。アップデートを開発するために多くの学びがあったし、サマーブレイクあたりには新しいパーツを持ち込めるはずだ」とサンチェスは説明した。 「マシン重量を大幅に減らすことができた。シャシー面でも、セットアップ面でも、ドライバーたちがバランスを快適に感じ、マシンから少しでも多くを引き出そうとしている」 「(アップデートの)いくつかは開発ラインにあった。今はより多くのモノが投入を控えている。多くのアイデアがある。我々は現在、できる限り速くペダルを漕ごうとしている。ちょっと開発不足だと思う。もっと色々なモノが必要だ。特にダウンフォースだね」 「ダウンフォースを稼ぐ上で簡単な方法は、車高を下げて走ることだ。そこにはプランクもあるし、摩耗に注意しなければならないレギュレーションもある。しかし開発面では、今のところ方向性がハッキリしていると思う」
滑川 寛, Jake Boxall-Legge