【高校サッカー】東北学院、奈良育英に3-1快勝!橋本父子を軸に“ファミリー感”が最大の武器
<全国高校サッカー選手権:東北学院3-1奈良育英>◇29日◇1回戦◇ニッパツ 37大会ぶり5度目の出場となった東北学院が、42大会ぶりの勝利を挙げた。奈良育英に3-1と快勝し、8強入りした1982年(昭57)度大会以来の勝利となった。橋本俊一監督(52)とGK橋本脩礼(3年)の父子を中心とした“ファミリー感”あふれるチームワークの良さが持ち味。一致団結し、目標とする8強入りを目指す。 ◇ ◇ ◇ 快晴の空のもと、ブルー軍団が緑のピッチで躍動した。前半7分、佐藤成真(3年)が直接FKを決めて先制した。後半2分には動きをデザインしたCKからDF阿部幹大(3年)が頭で勝ち越した。誰もが笑顔だ。最高の舞台、最高の仲間と青春を謳歌(おうか)する。そして後半36分、ホットラインから待望の追加点が飛び出した。 GK橋本からのロングフィード。一気に最前線に抜けだしたのは幼なじみのMF佐々木智貴(3年)だった。GKを右にかわして冷静にゴールに流し込んだ。「キャッチした後はカウンターを狙っているですけど、智貴が呼んでくれたのでそこに付けました」。父の橋本監督と佐々木の父が東北学院サッカー部の先輩と後輩という関係。幼少期から顔を合わせ、同校のグラウンドでも遊んだ仲だ。 「感無量ですね」。橋本監督にはさまざまな思いが含まれていた。長年閉ざされていた選手権の舞台に同校が立ち、歴史的勝利を挙げたこと、選手の成長を感じられたこと、そして父子がその場にいたこと。前日の夜はミーティングで全員が前に出て話す機会を設けた。これまでの思い出を熱く語り合い、負けたらこれが最後という思いを強くした。「全員が涙を流しました」(橋本監督)。チームは一体感を強く持った。この日の試合では1-1の同点とされ、どっちに転ぶか分からない状況にもなった。だが揺るがなかった。橋本、阿部ら中高の6年間をともにする選手が多く、一枚岩となれるファミリー感こそ最大の武器だった。 長く閉ざされていた歴史の扉を押し開けた。それは序章にすぎない。橋本は「目標はベスト8、1日でも長くという思いが強い」。西高東低の北風が強まる年末年始、ブルー旋風の予感が漂う。【佐藤隆志】