高校で孤立した井上咲楽が<3年で終わるから>とのアドバイスを素直に受け取れなかったワケ。「クラスのみんなから嫌われていると思い込んでいた。でも最後の最後に…」
『新婚さんいらっしゃい!』のアシスタントMCを務めるなど、さまざまなテレビ番組で活躍するタレント・井上咲楽さん。「笑顔で明るくいつも元気」というイメージを持たれることもある井上さんですが、その半生は決して明るいだけではなかったそう。今回は、井上さんが抱えてきた不安や悩み、生きづらさなどについて赤裸々に綴った初のエッセイ『じんせい手帖』(徳間書店)から、一部を抜粋してお届けします。 【写真】実家で漬けた梅を食べる井上さん * * * * * * * ◆2つの世界での苦しさ、逃げ出さなかった・頑張れた理由 地元での学校生活。東京での芸能生活。 どちらにも困難はあったけど、2つの世界があったからこそなんとかやってこられた。 学校で友だちに陰で悪口を言われていた時、孤立してしまった時。その悩みを少し相談した人には「高校生活は3年で終わるし、卒業したらほとんどの人は二度と会わない。長い人生のうちのほんの一瞬だから深刻になりすぎないほうがいいよ」とアドバイスをもらった。 正直に言うと、その言葉は素直に受け止められなかった。 高校生は毎日学校に行く。基本的には学校の人間関係が世界のすべてだ。大人から見ると、高校生の悩みは些細なことに思えるかもしれない。それは世界がもっともっと広いと知っているからだ。
◆卒業の危機 苦しかった私が高校になんとか通えていたのは、東京での芸能活動があったからだ。 事務所やテレビ局に行くと、プロフェッショナルな大人たちがいる。愚痴をこぼしながらも、楽しそうに本気で仕事をしている。広い世界の一部を感じられていたから、悩みながらも学生と芸能活動を両立できたのだと思う。 それでも親友と絶縁したり、後輩がやっている裏アカでの発言に戦慄したり、学校での人間関係に翻弄されて、欠席した授業もたくさんあった。 私の通っていた高校は単位制で、高3も終わりに近づいた頃、卒業に必要な単位が取れてないことがわかった。事務所の人には、仕事にちょこちょこ行っていたせいで単位が足りなくなっちゃったんです、と説明したけれど、実際はつまらない意地を張って行ける時に行っていなかったのが原因だ。 このままいくと卒業できない。