「透明ディスプレイ」で新たな映像体験! 住友化学、LG、ソニーが実用化を進める次世代の広告・サイネージ技術
ソニー:3D表現で、そこに実在するような映像に
ソニーでは、液晶や有機ELといった従来のフラットディスプレイでは実現できない、新しい映像体験の提供を目指して「透明スクリーンディスプレイ」の開発を進めている。開発のねらいについて、開発担当者は次のように話す。
┌────────── SF映画では、何もない空間に突如人物の立体映像が現れて、あたかもその場にいるかのようにコミュニケーションを取るシーンをよく目にします。そんな世界を現実のものにしたいと考え、そこにあるような視覚表現(実在感、存在感)ができるディスプレイの開発を始めました └────────── 同社では、2019年のSIGGRAPH(アメリカコンピュータ学会におけるコンピュータグラフィックスを扱う分科会)で360°透明ディスプレイ(2D表示)を、2023年のSID(Society for information Display)で360°透明ライトフィールドディスプレイ(3D表示)の試作機を発表している。 同技術の差別化ポイントは大きく2点ある。1つ目は、従来の透明スクリーンと同じ透明性を維持しながら、従来の技術よりも数十倍明るい映像表示を可能にしている点。2つ目は、3D表示により、2Dでは難しい「そこに実在しているような映像」が再現でき、これまでにない体験を提供することができる点だ。 この優位性を生み出しているのが、HOE(Holographic Optical Element)技術を応用することで透明性と輝度を両立できる、ソニー独自のHOEスクリーンだ。 ┌────────── 透明スクリーンディスプレイの開発において大きな課題となるのが、映像を映すスクリーンにおける透明性と輝度の両立です。この2つの性能は本来トレードオフの関係にあり、スクリーンの透明性を追求するほど投影される映像は暗くなり、映像の明るさを求めるほどスクリーンには白い曇りが生じます。 私たちが開発したHOEスクリーンは、HOE技術を活用して透明性と輝度の両立をかなえました。さらに、HOEスクリーンを用いた円筒型の360°透明ライトフィールドディスプレイにより、360°から人数制約なく、明るい照明環境下でも視認性が高く浮遊感のある裸眼3D映像を表示できるようになりました └──────────