「透明ディスプレイ」で新たな映像体験! 住友化学、LG、ソニーが実用化を進める次世代の広告・サイネージ技術
今後はモビリティ(車窓)、建物外壁広告、交通標識、地下鉄などのホームドア、映像放送機器などへの展開を検討中だという。価格帯はハイエンド市場を想定しており、通常ディスプレイの単純な置き換えではなく、強みを生かせる用途への展開を見込んでいるとのこと。 現状は韓国内での販売にとどまっているが、日本やその他海外へのプロモーションも検討中だ。同事業の展望として、広報担当者は「グローバルで2020年代後半に数十億円規模へ成長させたい」と話した。
LG:鮮明な映像を映し出し、空間に調和させる
テレビなどのAV機器や生活家電などを幅広く展開するLGでも、「透過型OLEDサイネージ」として透明ディスプレイを実用化している。同社が採用している「有機EL」は、特定の有機物質に電圧をかけると有機物質自体が光る現象(自発光)を指し、鮮明な映像を映し出せる利点がある。
この特性を活かし、空間と調和させるディスプレイとして開発されたのが透過型OLEDサイネージだ。具体的な開発期間や開発での苦労は非公開とのことだが、LGが長年培った経験と技術を基礎に透過率の向上などを進化させている点、独自技術によるプロセッサーを用いて、最適な映像を出力できる点は、他社製品との差別化ポイントになるという。 CES2024では、世界初の透過型OLEDサイネージ(透明有機ELテレビ)として発表し、注目を集めた。同社の担当者いわく、さまざまな用途があるが、特にブランディングに関わる使用方法で好評を得ているとのこと。インテリアに調和する特性を活かした新たな空間演出のアイテムとして採用されるケースが多いそうだ。その他、「NFTアートとしての可能性もあるため、デジタルアートとの融合も戦略として取り入れている」という。 同製品の展望として、「映像コンテンツクリエイターとインテリアデザイナーのコラボレーションといった映像と空間の調和、アバターとの連動など、透過型にしかできない映像表現をクリエイターと共に作り上げていきたい」とした。