「アーチェリー競技は真のバリアフリー。車いすだから負けたという言い訳は通用しません」世界No1を目指す上山友裕
アーチェリーは真のバリアフリー
アーチェリーは、車いすでオリンピックに出場もでき、健常者と同じ土俵で競えるスポーツだ。「点数的にはほぼ変わらないので、同じ条件で戦えるのが面白い」 バリアフリーとは、障害のある人が社会に参加する上でバリアをなくす意味で使われるが、アーチェリーには最初からバリアがない。 「だから車いすだから負けたという言い訳は通用しません。これが本当の意味でのバリアフリーだと思います」と強調する。 国内では、パラの大会が少ないため、一般の全日本大会にも出場する。「パラの試合では負けられないプレッシャーがあるけれど、一般の大会では挑戦者の立場で臨めます。これが、ゲームの上級モードみたいな感じで面白いです」 目標にしているのは、オリンピック選手に勝つことだという。「たとえば古川(高晴)選手は、オリンピック6大会連続出場の、めっちゃすごい選手ですけど、ぼく過去1回だけ2ポイント取ったことことがあるんです。70m先の的まで矢が届けば、勝つ可能性はゼロではないのがアーチェリー。また挑戦したいと思います」 世界のトップ選手に挑戦できるという開かれた競技性が、アーチェリーの最大の魅力なのだろう。
「勝ちたいと思わない」極意でパリで目指すもの
「世界選手権とアジアパラ競技大会のメダルは持っています。残っているのはパラリンピックだけ」 自宅の1階には、リオと東京の公式ユニフォームや表彰状、トーチを飾っている。 「あとパラリンピックの金メダルを置けば“上山博物館”完成、コンプリートです!」と笑う。 「勝ちたいと思わないようにしている」と前置きしつつも、この思いがパリのモチベーションになっている。 アーチェリーの心技を身につけた上山は、未来に広がる無限の可能性へ向かって矢を放つ。 取材・撮影/越智貴雄[カンパラプレス]
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