新一万円札の顔「渋沢栄一」って、そんなにすごい人なの? 500もの企業や団体の設立に関わったって本当?“日本資本主義の父”について解説
7月3日から、20年ぶりに新しい1万円札が発行されています。これまでの1万円札の肖像には福沢諭吉が描かれていましたが、新札には渋沢栄一がデザインされています。中には、「渋沢栄一って誰?」と思った人もいるかもしれません。 本記事では、新1万円札の顔となった渋沢栄一がどんな功績を残したのか、そして彼の偉業が私たちの身近な生活にどのように関わっているのかを紹介します。 ▼実家の物置で「鳳凰」の描かれた100円玉を発見! 昔のお金は今も使える? 高く売れる場合もあるの?
そもそも紙幣に載る人はどう決まっているのか
渋沢栄一の功績を紹介する前に、紙幣に載る人物の基準、決め方について解説します。今回のように紙幣のデザインを変える目的の1つが、偽札が作られるのを防ぐためです。そのため紙幣に載る人物は第一に、精密な肖像画が残っている人でなければなりません。また、国や社会に貢献して歴史に名を残していることが前提条件になります。 お札に初めて肖像がデザインされたのは明治時代です。そこから今回の刷新までに合計17人の人物が登場しました。その中で、最近の紙幣に登場した人物を振り返ると、全員が「文化人」であるという共通点があります。 過去には政治家を紙幣に載せていたこともありましたが、政治家は立場上批判をされる可能性もあるため、そうしたリスクを避けるために紙幣の顔としては選ばれなくなりました。
渋沢栄一ってどんな人?
渋沢栄一は、明治時代から昭和初期にかけて活躍した日本の実業家です。若い頃にヨーロッパに留学し、そこで学んだ経済やビジネスの知識を日本に広めました。 渋沢栄一の最も有名な功績は、日本初の銀行を設立し銀行制度を確立したことです。特に、第一国立銀行(後のみずほ銀行)の設立は、現代の金融システムの礎を築きました。
誰もが知っている多くの大企業の設立にも関わっている
渋沢栄一は銀行の設立以外にも、今では多くの人が知っている大企業の設立に携わっています。生涯に500もの企業や団体の設立に関わったといわれていますが、その中で消費者に身近ないくつかの企業について紹介します。 ■生活に欠かせないインフラ企業や食料品メーカーの設立にも関与 渋沢栄一は、ガスインフラ最大手のENEOS株式会社の前身となる北越石油株式会社や、しょうゆで有名なキッコーマン株式会社などの設立にも携わりました。図表1は渋沢栄一が設立に関わった業種別内訳です。 図表1から分かるように、製造業から金融機関まで幅広い業種の設立を支えました。このように、渋沢栄一は「日本資本主義の父」とも呼ばれるほどの実業家として日本経済の基盤を作ることに貢献しました。 図表1