「やすり神経衰弱」に色覚と触覚で挑んでみた
端的に説明すると、同じ数字のカードを神経衰弱のように当てていくというゲームです。ただし、数字は紙やすりの「番手」。記憶力を頼るのではなく「色覚」、もしくは「触覚」で当てていくという点が異なります。3人で遊んでみました! 【もっと写真を見る】
某月某日。担当編集のこーのス(以下、のス)さんが、「なんか楽しく遊べる工具ってないですかねー?」という、およそ工具紹介記事を担当しているとは思えない提案をしてきたところから、話が始まります。 笑ってスルーしてもよかったのですが、「あったら面白そう」とか思っちゃったんですよね。そういえば、昔、ゲーム&ウオッチで、上から降ってくる工具を避けるゲームがありました。そう考えると、ゲームと工具の組み合わせって、意外と突拍子もないアイディアではないのかな、と。 (参考:「ゲーム&ウオッチ ヘルメット」) ってことで探してみたところ、いやー、あるもんですね。それが、MONYAさんの「やすり神経衰弱 - Sand Paper Memory」(価格 3500円)です。 どういうものかを端的に説明すると、トランプの神経衰弱と似たルールで、同じ数字のカードを当てていくというゲームです。ただし、数字は紙やすりの「番手」。また、記憶力を頼るのではなく「色覚」、もしくは「触覚」で当てていくという点が異なります。 ちなみに一般的に紙やすりの目の粗さは「#」を付けた数字で分別され、研磨剤の粒子のサイズを表しています。粗目#40~100、中目#120~#240、細目#280~#800、極細目#1000~です。 やすり神経衰弱カードとして用意されているのは、#80~#2000までの紙やすり15組30枚(紙やすり+厚紙の合紙)。ひとりでプレーしたところで面白くはないため、担当編集、著者、イッペイの3人で遊んでみました。 ●まずは難易度が低そうな気がする「色覚」でチャレンジ ルールを見ると、カードを引いてプレーヤーごとに「色覚」、「触覚」のどちらを使うかを選ぶようでしたが、初めてということもあり、まずは難易度が低そうな「色覚」でチャレンジすることに。 トランプのように切ろうと思ったのですが、これは紙やすり。研磨剤が引っかかってシャッフルしづらかったため、ヤスリ面を上にしていったん机に置き、手でかき混ぜます。この時点で、色の違いなどがあるということには気づくわけですが微妙過ぎる違いです。 細かなルールは決まっていないようなので、そこは遊ぶときに相談しながら決めました。 ・順番はジャンケンで買った人から右回り ・外れたら次の人の番 ・カードの移動は禁止 トップバッターは、のスさん。「全部同じに見える」と言いつつも、目を見開いたり細めたりして「キラキラしている」という理由で見事#80を当てました。粗いものは色が濃いだけでなく、光の反射でザラザラ感の区別もつくため、比較的わかりやすくなっています。さらに#150も当てた後で、「カードの反りが似てるのを選ぶがいいのかも」という、大ヒント発言。さらに#320を当てます。 ここで、目が粗いものではなくなめらかなものを当てようとチャレンジしてみるも、残念ながら#1200と#2000を開いてしまい、ハズレとなりました。3ペア取得。 続いてイッペイ(以下、ペイ)の番。「なんの自信もないんですけど」と言いながら、#120、#180と連続で正解。「引きで見ると色の違いが分かりやすいのではないか」と、あらゆる方向から舐めるように見ることで、試行錯誤を続けます。 ペイ「色が黒っぽいの攻めてみますね。これとこれとこの辺の5枚が黒く見えるんですよ」 のス「こっちも黒くない?」 ペイ「あそっちも黒いですね」 みやさと(以下、さと)「これは?」 ペイ「あー黒いですね。やめます。グレー行きますわ!」 といったやり取りをしつつ、「これとこれ、同じに見えてきました。開けます!」と宣言して見事、#1500を当てました。目が細かいものは色の差も微妙、ザラザラ感での判別ができないこともあり、難易度が高め。にもかかわらず、確信をもって当てたのはペイの強さでしょう。 「細目のイッペイ」という二つ名をつけられつつ、次は目の粗めな#240を正解。しかし次で間違えてしまい、4ペア取得で終了です。 次が筆者の出番。ここまで散々見ていたため、3ペアくらい見当がついていました。また、すでに7ペアが消えて数が絞られているので、色の差もわかりやすくなっています。 さと「これとこれかな?」 のス「え、ちょっと判断早ぎるんだけど」 ==正解== さと「次はこれとこれで」 ==正解== ペイ「え、なんでそんなスグにわかるんです?」 さと「2人がやってる間中、ずっと見てたもの」 ペイ「あー、俺達が悩みすぎたせいで敵に塩をー!」 といった感じで次々と正解。最後の3ペアくらいになると色の差が微妙過ぎて厳しくなりましたが、なんとか最後まで取り切ることができました。あまりに連続して当てるので、2人から「身体で影を作って色を見づらくしよう」とか、「ムーディーだから部屋の照明を落とそう」などと言われましたが。 ●難易度の高い「触覚」はルールをアレンジ 「色覚」では筆者の圧勝で終わりましたが、「触覚」ではどうでしょうか。これは目隠しをしたら、そのほかの人がカードをシャッフルし、指先でヤスリ面を触って同じものを当てる、というゲームになります。 今回は色覚ゲームの時と違って、1回ごとに次の人に順番を回し、総取りをなくしました。しかし、2巡ほど試して気づきましたが、毎回まったく見えない状態から探すわけで、全カードを触るだけでも時間がかかってしまい、終わる気配がありません。 のス「同じ感触のものがない! もしかして、テーブルの下にあるんじゃないの?」 ペイ「上にしかありませんよ」 のス「あ、湿っ」 ペイ「それ僕の手ですね」 目の粗いものは触覚だけでも比較的わかりやすいため、最終的に目の細かいものを判別できた人が勝つと想定。つまり、最終決戦を考えてシンプルにすると、「#2000を探せた人の勝ち」といえるでしょう。カードの位置がわからないうえ、触る数が多いと、いつまでたっても終わらないということでルールを変更し、指先の感覚だけで最も目の細かいものを探し当てる、というゲームにしました。 すでに神経衰弱要素はないですが、「触覚で識別する」という要素は同じですから、まあ、似たようなものです。ルールを改変して遊べるというのも、「やすり神経衰弱」の面白いところだと思いますしね。 なお、先に当てた人が勝ちではなく、当てられた人は全員優勝という、ゆとりあるルールにもしています。 ということで、プレー再開。手で机の上を探ってカードを引くのは厳しいので、他の人が近くに寄せてあげます。指で触りまくって、これぞと思ったものをキープしておき、違うのを排除。これを繰り返すことで、最も目の細かいカードを探していくわけです。 結果、のスは最後2枚で迷っていたものの、迷ったカードがどちらも#2000でパーフェクト。ペイは割と早い段階で1枚目の#2000を排除してしまったものの、最後の3枚までもう1枚の#2000は残っているという状態。最終的に、別のものを選んでしまって負けが決定です。筆者は残り3枚に絞ったところで、#2000が2枚含まれているという状態。指ざわりの違うものを1枚だけ除外すばいいか、ってことで無事#2000を当てることができました。 なお途中、プレイヤーのヤスリの感触を確かめている手を叩く、耳元で拍手をして五感を乱す、といった姑息な妨害をお互い行っていたことは明記しておきます。 というわけで「やすり神経衰弱」、みんなでわいわいと楽しむことができました。今回は最終決戦を想定して#2000を探すというゲームにしましたが、ランダムに1枚カードを手渡し、「同じ番手を探し出す」というゲームにしても面白そうですね。あと、制限時間は付けた方がよさそうです。そうじゃないと、いつまでも指先をこすって悩むことになるので。 ●ヤスリの特徴を活かしているのがユニーク 普段、何気なく使っている紙ヤスリですが、工具としてではなく、ゲームの道具として扱う日が来るとは夢にも思いませんでした。面白いことを考える人がいるものです。 公式の紹介文に「神経を衰弱させると同時に、指先を摩耗します」という言葉がありますが、色覚・触覚ともにかなり集中しなければ違いが判らないため、確かに神経は削られていきます。また、指先が妙にツルツルするなと感じるくらいには、磨かれていました。 なお、指先が摩耗した影響なのかは定かではありませんが、遊んだ日から2日間くらい、玄関に設置してあるスマートロックの指紋センサーが、なぜかうまく反応してくれませんでした。遊ぼうと思っている人は、一応注意してくださいね。 ●お気に入りポイント● ・無理だと思っても、意外と当てられる ・普通の紙やすりとしても使える実用性 ・指紋センサーへの影響に注意 この記事を書いた人──宮里圭介 PC系全般を扱うフリーランスライター。リムーバブルメディアの収集に凝っている。工作が好きだが、最近あまり時間が取れないのが悩み。 文● 宮里圭介 編集●こーのス/ASCII