アンチ「ブラックフライデー」に賛同続々。「セール同時開催」でどっちつかずも…
11月の第4金曜日は、大規模なセールが実施される「ブラックフライデー」だ。国内でも多くの企業が大々的にセールを展開するようになっている。一方で、大規模なセールから想起される大量生産・大量消費といった流れに対抗する「グリーンフライデー」の動きも年々拡大している。 【全画像をみる】アンチ「ブラックフライデー」に賛同続々。「セール同時開催」でどっちつかずも… そんな中、相反する2つのイベントに同時に参加する企業の姿もある。「ブラック」か「グリーン」か、揺れ動く企業の現実とは。
「グリーンフライデー」アダストリアとオンワードが初参加
メルカリがブラックフライデーに合わせて実施しているイベント「グリーンフライデー」では、古着を使ったファッションショーなどを通してモノを長く使う大切さを訴える。この取り組みに賛同した企業として、2024年は初めてアパレル3位のアダストリアとオンワード樫山が名を連ねた。 両社は、ファッションショーへの衣装提供などで協力している。 アップサイクル商品も展開するブランド・HAREでクリエイティブディレクターを務めるアダストリアの宇治裕紀氏は 「新しいものも古いものも関係なく、お客様にとって新しい価値は提供できると思っている。サスティナブルなファッションに共感してくださる方を増やしていきたい」 と、グリーンフライデーに賛同した思いを話した。 オンワード樫山は、自社商品を回収して再販する取り組みを長年続けている。同社サステナブル経営Div.長の山本卓司氏は「これを社会に普及していくのは、やはり一企業だけではなかなか厳しい」と語る。
ブラックフライデーセールも実施
ただ、両社はブラックフライデーに合わせたセールも同時に実施している。 一次流通のアパレル企業としては、当然、生産した新品を販売して売り上げを立てないとビジネスとしては立ち行かない。ブラックフライデーとグリーンフライデー。相反する性質を持つ双方に参加することについて、どう考えているのか。 オンワード樫山の広報担当者は 「消費者の方に(オンワードのブランドを)届けるツールであり、盛り上がっているイベントの一つとしてブラックフライデーを捉えています。グリーンフライデーも同様です。大量生産と大量廃棄は会社としては推進していない」 とし、アダストリアの宇治さんは 「安売りをして消費を促すというよりは、より多くのお客様との接点を増やす意味でブラックフライデーに参加している」 と話した。 一次流通ブランドにとっては「グリーン」か「ブラック」、どちらか一方を取るというのではなく、それぞれを顧客接点の一つとしてとらえる向きがある。消費者の意欲が高まる時期に、在庫をある程度「セールでさばく」というのは、多くのアパレルブランドが取っている戦略でもある。 一方で、スタンスを明確にしているブランドもある。 2023年から2年連続で「グリーンフライデー」プロジェクトに賛同するゴールドウインは、Business Insider Japanの取材に対し「セールで販売することは極力避けようというのが当社のポリシー」と回答し、自社でブラックフライデーのセールは実施していない。 また、家具大手のイケアの日本法人イケア・ジャパンでは、「グリーンフライデー」と称し、不要な家具の買取り価格を30%上乗せするキャンペーンを打ち出している。
土屋咲花