総合優勝の青学大、大手町で笑った『にっこりポーズ』 2つの敗北がかき立てた箱根駅伝への闘志
◇3日 箱根駅伝・復路 青学大が10時間41分19秒の大会新記録で2年連続8度目の総合優勝を飾った。6区の野村昭夢(4年)が従来の記録を30秒も更新する驚異的な区間新記録を樹立し、後続との差を4分近くへ拡大。8区の塩出翔太(3年)も区間賞の好走で優勝への道筋を固めた。 大手町で笑おう。青学大が1年前に掲げたスローガンを実現させた。東京・大手町のフィニッシュ地点。10区の小河原陽琉(1年)が両手の人さし指をほほに付けるにっこりポーズでゴール。9区を走った主将の田中悠登(4年)は「出雲、全日本と負けた時は不安で、正直、この箱根駅伝を迎えるのが怖かった。最高の仲間と最高の景色を見られて本当によかった」と目を細めた。 強力な選手層が勝利を決定づけた。2位に1分47秒のリードで復路をスタート。6区の野村が快記録で好スタートを切ると8区の塩出、10区の小河原も区間賞を獲得した。往路を合わせ、10区間で5人が区間賞。5区で先頭に立った後は一度も首位を譲らない盤石な走りは、チーム内競争の成果だ。 「勝てると言われた時に負けていた」。原晋監督(57)が過去の戦いを、こう振り返った。前回は「駒大1強」の下馬評を覆しての王座奪還。その逆で、今季は「勝てる」と自信を持って臨んだ出雲と全日本で3位だった。全日本は首位で迎えた最終8区で国学院大、駒大に逆転を許す屈辱。責任を感じた8区の塩出に原監督が伝えた言葉は「駅伝でやり返すぞ」。2つの敗北が、箱根への闘志をかき立てた。 終わってみれば駒大、国学院大と2年連続で他大学の「三冠」ストップに成功。前回塗り替えたばかりの大会新記録もさらに更新した。圧倒的な強さを見せても、選手が目指す先はさらに上。4区の太田蒼生(4年)や8区の塩出は区間賞でも「区間新を出せなくて悔しい」と口にする。 2015年の初優勝から11年間で8度の総合優勝を成し遂げた。来年は優勝メンバーから6人の4年生が抜けるが、心配はない。果てしない向上心を持つ選手が新たなチームをつくり、2度目の3連覇に挑戦する。
中日スポーツ