がんの治療費に「平均」はなし。大切なのは治療内容を知ること
がんになったときに病状とともに気がかりなのが、お金のこと。医療費などをはじめとした、がんを治療しながらの生活に「かかるお金」と「かけるお金」のことをご紹介します。監修は一般社団法人がんライフアドバイザー協会代表理事・川崎由華さんです。
治療費に「平均」はなし。治療の内容や所得によって変動
自分や家族が、がんだとわかったとき、まず気になるのが「がん治療にはいくらかかる?」ということ。しかし、がん治療にかかる金額は、がんの種類や治療の内容によってまちまちで、「平均額」も目安にはなりません。 まず把握したいのは、自分が受ける、受けたい治療がどのようなものかということ。治療内容を知ることが、必要な金額を知る第一歩です。
●まずは1か月あたり医療費の自己負担額を調べる
日本の社会保障制度では、公的医療保険の中で自己負担額が一定以上になった場合に、超過分の負担金が払い戻される「高額療養費制度」という制度があります。 自己負担額は自身、または配偶者の収入や年齢によって変わるので、1か月あたりの自己負担額の上限額を調べましょう。 また、治療の中には健康保険が使えない「自由診療」もあります。
●1か月の医療費が一定の金額を超えた場合
超過分の金額が返還される「高額療養費制度」で、がん治療の費用をカバーすることができます。 <ただし、自己負担の上限額は自身や配偶者の収入によって変わる> 自己負担額の上限は、70歳以上か70歳未満かで変わります。また、配偶者の扶養に入っている場合は、自分自身の所得ではなく、扶養者の所得で計算されるため、思いがけず高額になって驚くことも。
「かかるお金」と「かけるお金」を区別すること
がんの治療・療養中には純粋な医療費以外にも、病院までの交通費や入院中の家族につき添った際の外食費、パジャマや下着の購入費など、こまごまとした費用がかかり、累積すると思わぬ金額になることも。 きりつめることができない費用もあるので、必ず「かかるお金」と、よりよい治療のための「かけるお金」を区別し、ときには取捨選択をしましょう。
●かかるお金
病気を治すだけでなく、治療に伴う副作用や合併症の治療、その後の体のケアで必ず必要になるお金。 ・医師から勧められる治療費 ・通院時の交通費 ・専用下着費 ・入院のための雑費 ・文書費
●かけるお金
医師から勧められている治療以外で率先して自身の意思で行いたいと思う治療やケア、環境づくりのためのお金。 ・セカンドオピニオン ・差額ベッド代 ・保険のきかない治療 ・ウィッグサプリメント、漢方 ・自宅環境 ・こだわりの食事 …など
ESSE編集部