「私たちの戦争はいつまで続くのか」、レバノン停戦合意で複雑な心境明かすガザ住民
イスラエルとレバノンの親イラン武装組織ヒズボラが1年超に及んだ戦闘の停止で合意したことを受け、ガザ住民の多くは複雑な心境を抱えている。停戦の実現を喜ぶ一方で、見捨てられて忘れ去られたと感じ、イスラエルの攻撃がガザ地区に集中する可能性を恐れているためだ。 「ここでも停戦が実現するよう願っている」とウム・マナール・アル=ナジャールさん。「ガザ住民は疲れている、子どもたちも疲れ切っている」と話す。 1年以上にわたる交渉が続けられているが、ガザでの停戦合意は今も実現していない。14カ月に及ぶイスラエル軍の攻撃によってガザ地区は荒廃し、4万4000人以上が死亡。 他のガザ住民と同様、避難を余儀なくされたオサマ・アシュールさんは、レバノンの停戦を喜び、同国の支援や連帯に感謝を示した。ただ同時に、世界はガザに背を向けたのではないかという恐れも感じている。 「パレスチナは戦争により荒廃し、厳しい冬の中で人々は飢えや苦痛、家を失うことに苦しんでいる。だが、解決策を求める声は世界中、誰からも聞こえてこない。神の意志により、すぐに実現することを願っている」 イランの支援下にあるヒズボラは2023年10月、イスラム組織ハマスと連帯し、イスラエルに向けてミサイルを発射。戦闘が開始した。 ヒズボラはガザ紛争が終わるまで、停戦に合意することはないと主張していた。だが9月にはイスラエル軍の空爆により、指導者のナスララ師が死亡。ヒズボラと、その後ろ盾であるイランにとって、大きな打撃となった。 ハンユニスで暮らすハシェム・アブ・オルバさんはこう話す。 「心の底ではレバノンの停戦を嬉しく思っているが、同時に彼らが私たちを見放したことには、いら立ちを覚えた。あなたたちの戦争は終わったが、私たちの戦争はいつまで続くのか」 イスラエルとヒズボラの停戦合意は、ハマスにとって打撃になるとみられる。ここ数カ月間はレバノンへの攻撃が急激にエスカレートしたことから、イスラエルに完全な停戦を迫ることを期待していたためだ。 ハマス幹部のサミ・アブ・ズーリ氏はロイターに対し、レバノンが停戦に合意する権利を「称賛」し、ガザでの停戦も期待していると語った。 サリバン米大統領補佐官は、米政権がガザ停戦に向けた働きかけを再開させると明言した。