日銀・黒田総裁会見12月18日(全文3完)日本の株価はバブルではない
ETF購入が企業統治に影響があるとは考えていない
ETFにつきましては、東証の時価総額の6%ぐらいでありまして、それも個別の株を買うっていうのではなくて、ETFを市場の、いわば平均的なバスケットを購入しているということでありまして、何か企業統治とか、そういうものに何か問題が生じているっていうことは考えておりません。そもそもETFの関係では、資産運用会社が信託銀行を通じて株主権を行使しておられるわけで、そのときにはきちんとしたルールに沿って行われておりますので、こういうETFのようなものっていうのは日本だけでなくて、欧米の場合はもっとたくさん大規模にあるわけですけれども、それが何かコーポレートガバナンスを阻害するとか、そういう議論はありませんので、日銀が買うことで何か特にコーポレートガバナンスに影響があるというふうにも考えておりません。 また先ほど申し上げたような程度の購入であって、あくまでも株式市場のリスクプレミアムが過度に拡大するというようなときに、柔軟に対処しているということでありまして、株価を目的に行っているものでもありませんし、いろんな指標で見ても何か日本の株価が特にバブルになっているというような状況にはないと思います。 ただ、いずれにいたしましても、ETFの購入につきましては、確かに中央銀行の中では異例のオペレーションであることも事実ですし、その効果とか、あるいはこういう状況の中でより効果的に持続可能な形で行うための点検っていうのは必要だというふうに思っております。
物価上昇率が想定以上に下落しているためか
読売新聞:読売新聞の【トダ 00:54:15】です。2点伺います。まず1点目は点検なんですけれども、これまで総裁は16年度のような総括検証は必要ないというふうにおっしゃってきましたけれども、今なぜこのタイミングで点検が必要なのかということをあらためてお伺いします。足元で物価上昇率が日銀の想定以上に下落しているということが影響しているんでしょうか。 それが1点目と、もう1つは持続可能な金融緩和を目指すということですけれども、これはつまり現在のペースでETFを買い入れることは、ETFは償還がありませんので、それはつまり持続可能じゃないというふうに考えていらっしゃるということの裏返しなのかということを伺います。 黒田:なぜこの段階で点検かというのは、先ほど来申し上げているように、2%の物価目標の達成がやや先になっているという状況で、これはコロナの影響が大きいわけですけども、そういう下でより効率的、効果的な金融緩和、持続可能な金融緩和というものを現在のオペレーションを点検して、必要なら改善していくということをしようということであります。 ETFにつきましては、先ほど来申し上げているように、各国の中央銀行の中では異例のオペレーションであることは事実なんですけれども、何か今の買い入れを行っていることが何か直ちに持続不能になるというようなことはまったくないと思っております。先ほど来申し上げているように、東証の6%程度、株価総額の6%程度を保有しているということでありまして、持続不能な状況になっているというようなことはないと思っております。ただ、その中でもやはり先ほど来申し上げているような、今後2%の物価安定目標の達成に向けて、より効果的で持続可能なさまざまな資産買い入れの方式を、現状を点検し、分析して、改善すべきところがあれば改善を考えるということでございます。 共同通信:幹事社です。ちょっと時間が迫ってますので、あとお1人でお願いします。