半導体業界のエリートが集結したドイツ新興、「Ubitium」の実力
ドイツの新興チップメーカーUbitium(ユビティウム)のチョ・ヒョンシンCEOは、同社が5年以内に数百万ものシステムやデバイスの性能を向上させられると信じている。彼は、同社が開発した「ユニバーサル・プロセッサ」が、多くの業界に革命をもたらすと述べている。 ドイツのデュッセルドルフに本拠を置く同社について、チョは次のように語る。「我々は、大半の企業が直面しているコストと複雑性の問題を解決しようとしており、あらゆるデバイスがリアルタイムにインテリジェントな意思決定を行って自律的に動作し、人間とテクノロジーとの関わり方が大きく変革するという未来を思い描いている」 ユビティウムは2024年11月21日、シードラウンドで370万ドル(約5億8400万円)を調達したことを発表した。同社は、次世代新技術の展開が停滞していると主張する。「スマートシティや自動運転などの期待されていた技術のほとんどは実現していない。これらを配備する上で問題となっているのは、1960年代から作られてきてプロセッサが、必要とされる規模やペースに対応できないことだ」とチョは話す。 これまでのチップ技術の進歩は、小型化が大きな割合を占めたとチョは指摘する。小型化されたトランジスタをより多く搭載することで、マイクロプロセッサはより強力になってきたが、設計は根本的に変わっていない。ユビティウムは、複数の作業をこなすことができるユニバーサル・チップによってこの問題を解決しようとしている。 「我々は、既存の専用プロセッサを置き換えることで、追加のコストや複雑さをもたらすことなく、高度な人工知能(AI)の実装を可能にする」とチョは語る。ユビティウムは、今回の資金調達により、2025年に実用的なプロトタイプを開発することが可能になったと述べている。同社は2026年に商業生産を計画しており、実現すれば世の中を大きく変えるとチョは確信している。 「複雑さを増すことなく、コンピューティング・パワーの増強を可能にしなくてはならない。我々は、顧客を複雑さから解放することを支援していく」とチョは話す。 これは、大それた約束のようにも聞こえるがチョが自信を持っている理由の1つは、共同創業者たちのこれまでの実績にある。同社のCTOのマーティン・ヴォルバッハは、半導体業界のベテランで、米国の大手チップ企業が使用している特許技術を200件以上保有しており、ユビティウムの基盤となる技術の開発に15年を費やしてきた。また、会長のピーター・ウェーバーは、インテルやテキサス・インスツルメンツ、ダイアログ・セミコンダクターで要職を歴任した経歴を持つ。