大阪市の橋下市長退任記者会見【全文2】
8年間の府市政の自己評価について
司会:次、いかがでしょうか。 朝日新聞:朝日新聞のイノウエです。先ほどご自身のお話の中で、自分の役割は下げ止めることだと、いうところですけども、あらためて府市政8年間振り返って、ご自身として自分の府市政の評価というのはどうでしょう。 橋下:いや、評価は自分でやることではないですから。でね、これも読売新聞の検証も、本当にもうちょっと、なんて言うのかな、要はあらを探そうと思うからああいう話になるのかなと思うんですけど、大阪府政、大阪市政でね、景気や雇用の第1次責任者なのかっていうところもしっかり見て、検証するんだったら、自治体行政っていうのは普段いつも、本当、反対のための反対論に本当になるなと思うんですけども、普段、じゃあ僕が国政的なことをやって、それは自治体の長として違うじゃないかと。もっと住民の暮らしを見ろとか、地に足の付いたいろんな政治や行政をやれと言うわけです。 検証を見てみたら、工場のそんな誘致とか、企業の流出どうのこうのって、それ、しかも企業の流出なんていうのは、流出状況を見たってしょうがないわけです。だって新規に事業を起こされてるなんていうことは、大阪たくさんあるわけですよ。だから新規に生まれた事業者数とかね、そういうもののトータルの中で大阪府内に入ってきた企業、出て行った企業っていうものも1つの要素としてあるのにね、企業が入ってきた、出て行ったって、そんなミクロなところだけ捉えられても、それだったら大阪全体のGDPとか、大阪全体のその経済の状況と、それからそれは国の役割、地方の役割っていうところも、しっかり分析してもらわないと。 で、地に足の付いた政治や行政やれってよく言われるのは、やっぱり大阪市長としては住民サービスのほうでしょう。そしたら住民サービスで今、限られた財源、どんどん税収が増え続けてるわけじゃないですから、やっぱり一番検証をやってもらいたかったのはどういうサービスをやめて、新しいサービスをしたのかという、この転換の是非について、僕は徹底的に検証してもらいたかったなと思うんです。これはやっぱり自分の考え方が100%正しいとは思ってないのでね。 要は読売新聞のあの検証の話とか、あんなもん市長が全部できる話じゃないし、国との役割のこともあるし、仮に大阪、僕がね、仮にですよ、何かじゃあ雇用を増やした、有効求人倍率を増やした、たぶん読売新聞はそれを削っているわけですよ、その数字は。なぜかといったら、それはアベノミクス効果だというふうに思っているわけですね。そしたら雇用とか有効求人倍率の数字を外しておいて、工場の立地数とか企業の流入数、あと出て行った流出数、そういうところの数字だけ持ってきて、それ、いったい地域の首長の仕事とどんだけ関わりあるんだと。 やっぱり自治体の長の一番の仕事っていうのは住民サービスであって、しかも限られた財源なわけですから、新規の事業、新規の事業ってわけにはいかないわけですよ。僕の大阪府政、大阪市政のテーマは住民サービスの転換ですよ。住民サービスの転換。これをずっと僕は挑戦してきたわけです。だから、もちろん新規の財源で、真水で新規事業を増やしたものもありますけど、基本的には何かを削って何かを増やしたっていうことをやり続けてきたので、その住民サービスの転換については、僕はこここそ自治体の長の検証として一番やらなきゃいけないところだと思うんですよ。 だからそれをやっぱり、いや、橋下さん、言うのは分かるけど、これは削ったのは違うんじゃないかと。で、削ったことだけを駄目っていうんじゃなくて、それを削ってこっち側に転換したという、削るのは分かるけど、これ増やすっていうのは、ここはおかしいんじゃないのとか、これからの政治行政に求められるのは住民サービスの転換です。これはニア・イズ・ベターの根本哲学が、住民サービスの選択なんですよね。あれもこれもじゃなくて、あれかこれかの時代に突入するって、みんなが言ってるわけです。それを僕は8年間徹底してやってきたつもりですから、本当はそういうところを徹底して検証してほしかった。 で、その評価については僕が難点言えるところではないですども、でも、ここまで大規模に住民サービスの転換に挑戦したという自治体はないと思います。それはもうたった1つ、高齢者の皆さんには申し訳ないけれども、現役世代のほうにもうちょっと税の配分を増やさせてほしいと。いや、それは借金を増やして税の配分するんじゃなくて、高齢者の皆さんの狙い撃ちじゃないけど、やっぱり過剰に出していた補助金を、やっぱり今、大阪に足りない教育、子育て世帯のほうに回したということの挑戦をやり続けてきた8年ですけどね。でも、それでもきちんと選挙、まあ一部やっぱり支持をされなかった選挙もありましたけど、多くの選挙では支持を受けたということは、国民の皆さんにきちんと説明をして、きちんとやればそういうことを納得してくれるんだなということは、非常にこれは確信を持った8年ですね。 朝日新聞:今、お話をお伺いしますと、ご自身としてはやれるべきことはやったという。 橋下:やれました。これ以上やれって、無理です。もう自分で持てる力は全部出し切ったと、本当にもうそういう感じです。だから無駄な8年だって、そういうことをほざくようなコメンテーターは腹が立ってしょうがないです。これは本当に。これは本当にね、失礼極まりないですね、本当。 朝日新聞:一方で、きのう議会で、議会の呼び掛けとして、これからは修正、妥協というものをして、前に進めていってほしいと、そこはやはりご自身がやってきたところは違うところという部分を。 橋下:そりゃあそうです。もう僕がだいたいそういう反発を食らうようなことはだいたいやり尽くしたんで、そして、改革案、役所の中でも反対の声が湧き起こるであろう改革プランは全部まとめましたから、あとはやっぱり、議会の皆さんにきちっと議論をして、協議をして、維新の会の考えが100%正しいわけじゃないですから、そこはもう修正、修正を繰り返しながら、まとめていくっていう、そういう段階だと思いますよね。 朝日新聞:ご自身の在任中に協議して修正していくということは難しかったと。 橋下:当たり前じゃないですか。今も副市長と話、してますけど、20年ぐらいかかるようなところを、1つの案件でも20年ぐらいかかるようなところを、これ、数年でまとめ上げようなんていうのは、それで協議までやってまとめろなんて、そんなのできるわけないじゃないですか。どこまで朝日新聞はそんな幻想をしてるんですか。プロセスを考えてくださいよ。 朝日新聞:結果的に例えば地下鉄の民営化ですとか、議会との反発もあって進まなかったというんですけど、これも仕方がない。 橋下:当たり前です。それはもうそういう改革、改革をずっとやり続けた中で、そのステージは無理に決まってるじゃないですか。だいたい改革のプランなんて考えたときに、4年後にって、全部なんて無理なんですから。じゃあ、これ話し合い、話し合いで、朝日や毎日や、そのほかのメディアも言うように話し合い、話し合いでやってたらほかの改革も進みませんよ。それだったら進めるものだけはどんどん進めていって、最後の残る部分は次にきちっと送っていくと。 朝日新聞:4年で無理っていうことでしたら、もう2期、3期と考えられるんですけど。 橋下:だから住民投票で僕が負けたわけじゃないですか。 朝日新聞:でも、また再び都構想というものは考えていかれるんですか。 橋下:それは吉村さんと松井さんがやっていかれる。 朝日新聞:ご自身がやっていくというのは。 橋下:もう、こういうメディアとの付き合いはしんどいからいいです。 朝日新聞:そのへん未練というものはございませんか。 橋下:いや、だから次がしっかりやってくれたらいいと思ってます。僕がやれるところまではやりました。ここまでできる、ここまでできたっていうのでもう、まあ、普通じゃあできないところまでできたって思ってますから。それは何言われようが、ほんならあなたできますのっていうところですから。もう住民投票までできたっていうところ、で、大阪都構想の協定書っていうのは一応出来上がってるんです。ここから反対している人たちと話をしながらまとめていくっていうのは、吉村新市長の真骨頂だと思いますよ。あの人はもう本当に、そういう政治家としての能力はもう天下一品ですから。これはもう本当、吉村さんの良いところです。 もちろん吉村さんだけの力じゃなくて、反対派の皆さんもある程度そういう意識は持ってくれてると思いますけどね。 朝日新聞:最後にしますけれども、あらためて聞きますけど、ここで引くことに未練や悔いっていうのはございませんか。 橋下:え? 朝日新聞:未練や悔いはありませんか。 橋下:ないですよ。