元ホテルフロントマンが客室清掃を回想、トラブルや「恐ろしき事例」も
ツインのシングルユースで、もう一つのベッドやタオルを使ってよいのか?
一人でツインルームに泊まった場合、ベッドやタオルを二つとも使っても良いのか?ということですが、使われることを前提で考えていますから構いません。 逆に使った形跡のないベッドのシーツ類やタオルは新しいものに替えるかですが、ホテルによって違うと思います。ただ、しないホテルも慎重なチェックはするはずです。はっきりしない場合、よく分からない場合は替えるほうへ判断するでしょう。 意地悪な宿泊者にタオルの中にトラップを仕掛けられることも考えられるので、有名で高級なホテルほど必ず替えるという方針になると思います。 ■どんな手順? その階ごとに全室を開け、窓開けと換気、ごみ回収、リネン回収、掃除機というように部屋全部を全体の流れとして動きます。一部屋が終わったら次の一部屋へとは行いません。このほうが効率が良く、一部屋づつやるよりも時間がかからずに済むからです。そしてこれを信じられないスピードで行っていきます。 例えると新幹線の車両清掃に似ているかもしれません。わずかな停車時間に、徹底的に効率化された作業手順とチームワークで完了させる清掃作業が注目されることがあります。海外から視察に訪れるほどという記事や特集番組をご覧になった人も多いのではないでしょうか? 朝早くから清掃員がドタバタと、声もうるさい。なんでチェックアウト時間前から始めるのか?というご指摘はごもっともだと思います。けれども、人員体制や清掃部屋数の関係で間に合わせるには仕方ないこともあります。掃除は修羅場なのです。 いくら速く仕上げるコツや時間短縮を念頭に実践していても、いくら清掃の流れを意識していても、今日の清掃数はやばいぞ!という日があったりします。 そこでホテル側が困るのがチェックアウト時間を大幅に遅れる方です。その部屋だけ後回しとなると単独で清掃を行わなければならず、かなりの時間のロスになることがあります。 また、例えばある部屋が吐しゃ物まみれなど極端に汚されている場合など、予想外に時間を取られることがあります。 禁煙室での喫煙によるタバコ臭、欧米人に多い独特な強い体臭や香水で、長時間の換気が必要な部屋が出てくることもあります。 気にする人には凄く気になるようで、ホテルはニオイに関してのクレームはとても多く、中には消臭剤のニオイがして嫌という方もいます。 理想は全くの無臭ですが、このニオイは意外にしつこく消臭剤だけではなかなかとれません。ですからチェックイン時間ギリギリまで換気を行う必要が出てくる部屋もたまにあるのです。 どうしてもダメならオゾン発生器を使用します。トイレ便座にオゾン脱臭機能が付いているものがありますが、それと原理は同じでけっこう臭いがとれます。ただしオゾンの発生量が多くて持ち運びも容易な物である必要があります。ホテルは短時間で済むよう脱臭消臭機器専門の販売店の強力なのを使います。車、ペット関係の仕事でもよく使用されます。もちろん自家用としても使えるのではないでしょうか。 ■「ホテル裏話 | なぜ? みんなの疑問を元ホテルマンが暴露」◎元ホテル勤務の筆者がホテル経営の裏側を綴るブログ。ホテルにまつわるあらゆる雑学やエピソード、宿泊者が不思議に思うホテルの「なぜ?」にも答える。 (※本記事は筆者個人の勤務経験・体験にもとづくものであり、すべてのホテルに関する知見を網羅するものではない)
Forbes JAPAN 編集部