名古屋ダイヤモンドドルフィンズの加藤嵩都、B1挑戦を前に『武者修行』でラスベガスへ「僕の能力を生かすスタイルを探して」
アイザイア・トーマスからの学び「瞬間的に0から100へと切り替わるキレ」
──知らない選手たちといきなりチームを作って試合をするのに、コミュニケーションの問題はありませんでしたか? そこはあまり感じませんでした。英語は全然できないんですけど、コミュニケーションって意思の疎通ができていればいいので。今回参加したショウケースの選手たちは能力はすごいけど組織的なバスケは結構下手で、言葉を上手くしゃべれるわけではなくても通じる言葉を駆使して自分からコミュニケーションを取って、自分がキャプテンみたいにやっていました。 ──コミュニケーションが苦にならなかったのは大きいですね。 そこはBリーグで外国籍選手と一緒にプレーするのと同じ感覚でした。コミュニケーション以外の部分でも、Bリーグで3年間やっている自信は大きくて、フィジカルでは負けていても他では勝てる、全体としてはちゃんと通用するという手応えを得られました。 ──4試合に出場したそうですが、通用した部分とそうでない部分を教えてください。 エースとして活躍した試合もあればボールに絡めなかった試合もあって、「通用するぞ」という手応えはあったのですが、日本とアメリカでのバスケの違いは間違いなくあって、そこのアジャストメントに難しさも感じました。 「能力を最大限に生かせ」という、もともとの考え方が日本とは大きく違います。日本は今まで身体能力の差もあって一対一で打開する能力に乏しく、チームで戦うバスケに偏っていったんだと思います。アメリカではフィジカルであったり高さであったりを最大限に生かすプレーをしてきて、少しでも油断すると身体能力で全部やられてしまいます。僕が参加した試合は正直レベルもそこまで高くなかったですし、僕も日本では1対1が得意な選手なので、そこでは全然止められる気はしませんでした。ただ、身体の使い方や強弱の付け方はすごく学ぶものがあって、僕の能力を生かすにはこのスタイルだと感じられたことは、今後に向けて大きな指針になると思います。 ──アイザイア・トーマスのワークアウトを見学したと聞きました。 自分の試合の空き時間に、近くの会場でIT(トーマス)のワークアウトが見れると聞いて急いで行きました。すごく参考になりましたね。やっぱりボールスピードやムーブメントの速さは爆発的ですが、それでいて常にアンダーコントロールされていて高いレベルでボールと身体の動きがしっかりシンクロされているんです。 もうベテランでケガもしているので「全盛期に比べると結構落ちちゃったね」なんて声も聞こえてきたんですが、それでも抜く時と攻める時で急に段階が上がる、0から100へと瞬間的に切り替わるキレが日本では見たことのないレベルで衝撃的でした。目の前で見ると、テレビやネットでは得られない『勢い』や『音』など、実際の感覚に気付きます。サマーリーグの観戦やショウケースの参加ももちろんためになりましたが、ITのプレーを見て実際に『大きな気付き』を得られたのが一番の収穫でした。
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