「想像していた感じのサッカーではない」適応に苦しみ心無い批判も…鎌田大地が取材記者に打ち明けた“本音”。指揮官は同じでもフランクフルト時代とは「全然違う」【現地発】
アーセナル戦は「すごく難しい展開だった」
降りしきる雨の中で行われたリーグカップ準々決勝のアーセナル戦。クリスタル・パレスのMF鎌田大地が敵地エミレーツ・スタジアムのピッチに送り込まれたのは、1点を追いかける59分だった。 【画像】“世界一美しいフットボーラー”に認定されたクロアチア女子代表FW、マルコビッチの厳選ショット 直近のリーグ戦、ブライトン戦から中2日の連戦となるだけに、鎌田の先発起用が期待されたが、オリバー・グラスナー監督はほぼベストメンバーでプレミアリーグの覇権を目指す強豪に挑んだ。 イーグルス(クリスタル・パレスの愛称)は序盤4分にジャン=フィリップ・マテタが先制点を決め、その後は実力に勝る相手に押されたものの、人数をかけた守りで耐え抜き、前半を終えることに成功した。 だが後半に入ると、ガンナーズ(アーセナルの愛称)が誇る強力攻撃陣が牙を剥く。50分あたりから幾度も波状攻撃を仕掛け、GKディーン・ヘンダーソンが守るゴールに度々襲い掛かった。そして54分、ついにパレス守備陣が崩される。 セカンドハーフから途中出場していたマーティン・ウーデゴールのスルーパスに反応したガブリエウ・ジェズスがDFをかわしてGKと1対1に持ち込むと、最後は鮮やかなループシュートでネットを揺らして同点とした。 日本代表MFがピッチに登場したのはそれから5分後だった。ブライトン戦でも同じ時間帯から投入されたが、その際とは状況が異なった。敵地で2-0とリードする場面で鎌田に求められたのは、「しっかりと守備で中に絞って、外にボールを出させる。相手にやりたいことをやらせないように」すること。ディフェンスをこなしながら中盤を安定させてチームを勝利へと導く役割だった。 翻ってこの日のアーセナル戦。ゴールが必要な状況で起用され、グラスナー監督は「ダイチはフットボールインテリジェンスが非常に高い。スペースを見つけてボールを動かすことを求めていた」と試合後の会見で述べている。 とはいえ、現在のアーセナルを相手にそれを実践するのは容易ではない。同点に追いついた相手は逆転ゴールを奪おうとここからさらにギアを上げ、必死に食らいつこうとするパレスイレブンを素早いボール回しで錯乱。鎌田が敵陣で使えるスペースを見つける機会は限られ、逆に必然的に守備に奔走する時間のみが長くなった。 鎌田は「相手にすごく勢いがある状態で、とても難しい展開だなっていう風には思ってました」と入りの時点から困難な状況と考えていたことを明かし、「スタジアムの雰囲気もだんだん上がってきていたし、すごく難しい展開だった」と続けた。 結果的に、攻撃面での貢献はスルーパスを狙う場面が数回と、ボックス内にパスを出して味方のシュートチャンスをつくった程度。本人のシュート機会は一度も巡ってこなかった。一方の守備では、高い位置でプレッシングを試みたり、味方がボールを奪われると必死にトラックバックして敵の攻撃の芽を潰す場面も見られた。76分の敵のカウンターの局面では、俊足ウインガーのバカヨ・サカに一度は振り切られながらもスライティングタックルで止めたシーンもあった。 しかしこれらは、フランクフルト時代にチームの攻撃をけん引し、ヨーロッパリーグ制覇を含む多くの成功を収めた鎌田のプレーからは程遠く、昨季にラツィオでシーズン終盤に実力を証明した、その姿とも大きく異なる。
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