鳥との衝突、世界中で航空事故原因に 専門家
【AFP=時事】韓国南西部・務安空港で29日にタイ・バンコク発の格安航空会社(LCC)、済州航空のボーイング737-800型機が着陸に失敗・炎上し、搭乗していた179人が死亡した事故について、当局は調査の初期段階で鳥との衝突(バードストライク)が原因だった可能性を挙げている。さらなる調査が必要だが、世界では航空交通の拡大に伴い、鳥との衝突事故は増加傾向にある。 【写真】韓国旅客機事故、死者179人 鳥と衝突か
米連邦航空局(FAA)のデータによると、2022年には米国だけで鳥との衝突は1万7190件記録された。
フランスの民間航空局(CAA)の記録では、仏本土で毎年発生している民間航空機と鳥との衝突は約600件で、うち8%弱が深刻な事案となっている。
航空輸送分野における野生動物の危機管理を推進する非営利団体(NPO)「オーストラリア航空野生動物ハザードグループ(AAWHG)」によれば、今回の韓国での事故を除き、1988年以来、鳥との衝突で破壊された航空機は250機、死者は262人に上る。また、鳥との衝突が航空機に与える損害は、毎年12億ドル(約1900億円)超に上るという。鳥との衝突は通常、離着陸時の0~15メートルの比較的低高度で発生することが多い。
高高度での空中衝突は非常にまれだが、まったくないわけではない。最も著名な事故の一つは2009年1月、米ニューヨークでハドソン川に不時着したUSエアウェイズ旅客機の事故だ。この時はパイロットが冷静に機体を着水させ、乗客・乗員155人は無事だったが、同機はガンの群れと衝突していた。
■深刻な事故は「極めてまれ」
匿名で取材に応じた仏航空事故調査局(BEA)の元専門家は「鳥との衝突はほとんどの場合、重大事故とはならない」と述べた。大半は機体のへこみや衝撃といった限られた物的損害にとどまる。
しかし、1羽でも鳥が「エンジンに入ると、被害ははるかに深刻になる可能性」があり、特にコンプレッサーが損壊した場合、「故障やエンジン停止を引き起こす可能性がある」という。