脊髄損傷から1194日ぶりに復帰! 空牙が背中の手術痕を隠さず上半身裸で闘った理由は「恥ずかしい体でリングに上がりたくない」【週刊プロレス】
脊髄損傷の重傷を負って2021年9月から長期欠場していた道頓堀プロレス・空牙が12月22日、大阪・世界館で1分間のエキシビションマッチながらリング復帰を果たした。「まだ今日は、ここまでできるようになりましたというのを見てもらっただけ」とはいうものの、デビュー30周年を迎える2025年への完全復帰へ向けた大きな一歩となった。 【写真】上半身裸で登場した空牙の背中には縦に3本の手術痕が刻まれていた
空牙の体に異変が起きたのは2021年9月16日。前日、東京・後楽園ホールでおこなわれた日本プロレス殿堂会主催の大会に出場した翌日だった。 場外でダウンしている相手の体にイスを大量に積みあげ、そこに頭から飛び込んでいくトペ・アトミコを得意にするなど、過激なスタイルはメキシコ流のルチャ・リブレをもじって“ムチャ・リブレ”と呼ばれて人気を集めたが、一方ではダメージが蓄積させていった。 そして2021年8月15日、大阪・鶴見緑地(花博記念公園ハナミズキホール)で開催されたFMWEの大会での試合でトペ・アトミコを繰り出した際、頭から突き刺さった感じになった。その後、4試合をこなしたものの、次第に足が動かなくなっていき、運命の同年9月16日を迎えた。ついに腰から下がまったく動かなくなり、診断結果は脊髄損傷。手術を受け、リハビリ生活がスタートした。 最後の試合から数えて1194日。空牙は試合用コスチュームに身を包み、手術痕を隠すことなく上半身裸でリングに立った。胸、肩、腕も欠場前と変わらぬほどパンプアップされており、入場時に水噴きパフォーマンスを披露すると大きな拍手に包まれた。コール時には大ファンである阪神タイガース、そして自身のイメージカラーでもある黒と黄色のテープが大量に舞った。 相手を務めるのは対戦相手は太陽塔仮面。道頓堀プロレス旗揚げ時に誕生したキャラクターで、11年間、空牙ともに苦楽を共にしてきた盟友。 時間は1分間。ゴングが鳴ると反時計回りにリングを半周し、意を決したように太陽塔仮面とガッチリと組み合った。サイドヘッドロックにとらえられると、太陽塔仮面をロープに飛ばして振りほどく。戻ってきてのタックルを真正面から受け止めると、踏ん張ってダウンせず。“リングに立ったものの、まだ受け身が取れるまでには回復していないのか”と思わせたシーンでもあった。 「30秒経過」のアナウンスを合図にチョップの打ち合いを振り広げる。太陽塔仮面が仕掛けてきたラリアットの腕をキャッチすると、サイドヘッドロックにとらえてそのままロープに走る。会場から「オッ!」という声が上がる中、セカンドロープに飛び乗ると、反転しながらジャンプしてのブルドッキング・ヘッドロック、空牙の得意技の一つであるUターン・ブルドッキングが決まると、観客から大きな拍手がわき上がった。 さらに相手の両腕をリバース・フルネルソンに固め、これもまた空牙の代表的な技であるタワースタンプを狙う。しかしこれは太陽塔仮面に踏ん張られて決めきれず。ここで1分タイムアウトのゴングが打ち鳴らされた。それと同時に、力尽きたかのように後方に大きく受け身を取ってリングに大の字になった。 試合を終えた空牙は道頓堀プロレスの選手、スタッフに加え、「今日を迎えるまでに支えてくれた人たちや、間違いなく、今日集まってくださいました皆様の気持ちやその思いが、自分の背中を押してくれて、今日これだけですが、体が動けたと思います」と満員のファンに感謝を述べた。