相次ぐストーカー、被害者保護に限界 加害者への更正プログラム義務付けなど法整備急務
ストーカーの摘発が増える一方で、殺人に発展するなど深刻な事件が後を絶たない。支援団体は被害者を守るだけでは限界があることを指摘。一方的な執着心や感情をコントロールする更生プログラムの必要性を強調する。有識者はストーカー規制法を刑法に取り込むなど、「重罪」との認識を広げるべきだとしており、どうすれば減らせるか模索が続いている。 ■加害者変わる必要 対策強化を目的に警察庁は今年3月、ストーカー規制法に基づく禁止命令を受けた加害者全員に連絡を取って近況を把握するとともに、精神的治療の有効性などの紹介を徹底するよう、全国の警察に通達を出した。昨年8月から大阪や愛知など10都道府県警で加害者全員に連絡を取る措置を試行していたが、全国に拡大させた。 「どんなに被害者を守ろうとしても、加害者が変わらない限り問題は解決しない」。ストーカー規制法は改正を重ね、摘発も増えたが、被害が減らない状況を踏まえ、NPO法人「女性・人権支援センター ステップ」(横浜市神奈川区)の栗原加代美理事長(78)もこう断言する。ステップでは平成23年から、ストーカーやドメスティックバイオレンス(DV)の加害者を対象にした更生プログラムを実施している。オンラインで今月上旬に実施した際は、男女十数人が参加。スタッフに「パートナーはどのくらい危険を感じていたと思いますか」と問われ、参加者らは過去の行動などを赤裸々に語り合った。 加害者の多くが幼少期に両親から愛されなかったと感じ、愛情不足の状態で恋人やパートナーに出会うと、「これまで満たされなかった分を満たしてもらいたい」と執着心が募るとされる。 こうしたことから、ステップの更生プログラムは、米国の精神科医が提唱した「選択理論」心理学を活用。自身の怒りをセルフコントロールするアンガーマネジメント▽相手にいかに寄り添うか▽相手に幸せにしてもらいたいという依存ではなく、いかに自分で自分の欲求を満たし幸せになるか-の3つを目標に週に1回、約20人のグループで学ぶ。基本的に1年ほどプログラムを続け、自身の物事のとらえ方を変えていく。 ■プログラム強制を