相次ぐストーカー、被害者保護に限界 加害者への更正プログラム義務付けなど法整備急務
欧州諸国は規制法のような特別法ではなく、刑法の中につきまとい罪を加えるのが一般的だ。
特別法にとどめる問題点の1つが刑罰。ドイツやカナダではつきまとい罪の最高刑は10年、比して日本は1年だ。特別法ゆえに軽いと言わざるを得ず、刑法犯だという認識がそもそも薄いのではないか。ストーカーが重罪であるとコンセンサスができていない。
刑法199条の殺人罪はどういう行為が殺人に該当するか記す必要はない。一方で、どういった行為がストーカーに該当するか、逐一定義せざるを得ないだけに、対応が後手に回るのは当然だ。
これまでも前例があるが、特別法を刑法に組み込むのが妥当だろう。現行のままならば、より詳細に違反行為を示すしかない。加えて、ストーカーを行う人物が行為に対する認識が少ないことを踏まえ、予防勾留やケアプログラムについても記載し事件発生前の措置も講ずるべきだ。(聞き手 五十嵐一)
■ストーカー規制法 つきまといなどを繰り返す「ストーカー行為」を防止し、被害者の生活の安全と平穏を守るために平成12年に制定された。28年に東京都小金井市でアイドル活動をしていた女性がファンの男に刃物で襲われるなどの事件を受け、メールや交流サイト(SNS)での執拗(しつよう)なメッセージも規制されるなど改正が繰り返されてきた。令和3年8月には衛星利用測位システム(GPS)機器などを使って位置情報を無断取得する行為も規制の対象になった。