男性の育休取得率、どう変化している?「25年間で1%未満から13%に増加」
育休中、育児以外は許されない? 夫婦が選択肢を持つためには
――岸田総理が育児休業中のリスキリングについて言及した発言が波紋を呼びました。これに対して、小崎さんはどう思われましたか。 小崎恭弘: 波紋を呼んだ背景には「育休が孤独で孤立しているものだ」という意識があるのだと思います。いわゆる「ワンオペ育児」のイメージが強いから、「そんな余裕はない」という反応になったのでしょう。ですが、僕は育児のための休業であるから、育児をする以外のことを許さないという文化やメッセージになっているのでは、とも思ってしまいました。 ワンオペでは余裕がないかもしれませんが、妻だけではなく夫も育休を取ったら、もう少し余裕が出ることもあるかもしれない。僕は長男の育児休業中に夜間の大学院に行きました。昼間は僕が育児して、妻は働く。夕方6時ぐらいに帰ってきた妻と交代して、僕は夜間の大学院へ行く。まさにリスキリングをやって、資格を取ったからこそ、今こうやって大学教員になれています。 ――育児している方はどうしたら余裕を持てると思いますか。 小崎恭弘: 育児って、もっと自由なものだと思うんです。絶対にこうしなければいけないというようなことはない。その夫婦や家族ごとで、子どもも含めて、いろいろな選択肢や可能性を探っていったら良いと思います。かたや、やはり1人でずっとやっていかなくてはならない状況もあります。しかし、それは保育や子育てを1人でやりなさいというメッセージでは決してない。うまく行政でも民間でもサービスを知ったり利用したりして、子育てを豊かにしていくのも大切なことだと思います。 子どもって人をつなぐ力があると思うんですよ。子どもを連れて歩いていると、いろんな人が声かけてくれる。それを受け止められる親であってほしいんです。それは子育てに必要な能力の1つである「助けて」と言える「受援力」になっていく。自己責任論も非常に厳しい中で、1人で子どもを育てるのは本当にしんどい。もっと社会が柔らかくなって、みんなで育てていければ良いと思います。 ----- 小崎恭弘 兵庫県出身。大阪教育大学教育学部教授。1991年、西宮市初となる男性保育士として採用され、保育所や授産施設で12年間勤務。2014年から現職。2020年4月から附属天王寺小学校長を兼務。子育てアドバイザーとして各メディアや講演会での発信多数。NPO法人ファザーリング・ジャパン顧問。 文:田中いつき (この動画記事は、TBSラジオ「荻上チキ・Session」とYahoo! JAPANが共同で制作しました)