まさか振り込め詐欺だとは!親に頼ったことのない息子の窮地を救うため、カードで銀行から150万円を借りてしまった
警察庁が発表した「令和5年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について」によると、特殊詐欺の認知件数は19,038件で、被害額は452,6億円と、前年に比べて増加してます。中でもオレオレ詐欺は認知件数3,955件と、前年よりも332件減少するも、被害額は133,5億円で4,1億円の増加に。1件当たりの被害額が大きくなっており、より一層注意が必要です。自分は大丈夫と思っていても、身内からの急なSOSに疑いの目は向けづらいもの。丸山幸子さん(仮名・埼玉県・主婦・66歳)は、ようやく子育ても終わり、余裕も出てきたと思った頃、なけなしのお金を失うことになったそうで── 【漫画版はこちら】 * * * * * * * ◆考える隙を与えない電話の声に急かされて 2人の息子は自立し、親のお金をあてにしたことはなく、「親に何百万円も頼むことは絶対にない」と言っていた。 怪しい電話がかかってきたら、慌てず息子の番号にかけ直して確認すればいい。絶対に振り込め詐欺になんてひっかからない――そう思っていたのに、私は150万円を掠め取られた。 電話の相手は用意周到に獲物を狙っていたようだ。5月のある夜、夫が電話に出ると、相手は次男の名前を名乗り、携帯を失くしたので借りた電話を使っていると話した。 翌朝、今度は私が電話に出ると、次男を騙る男はこう言った。 「すぐに100万円用意してほしい」 運の悪いことに男の声は次男とイントネーションがよく似ていたので、私はすっかり相手を信じ、馬鹿な親心が働いた。 今まで一度も親にお金の無心をしたことがない息子が頼んできたのだから、よほどのことだろう。
◆電話をかけ直す暇も与えられず 心配で胸が張り裂けそうになっていると、「人妻を妊娠させてしまい、夫にバレてもめている。騙されていると思ってDNA鑑定をしたら、99.9%俺の子どもだった」と言う。「お母さんが育てようか?」と訊ねると、「そこまで迷惑をかけられない」の答え。 双方の弁護士の話し合いの結果、120万円で示談が成立し、弁護士費用の35万円と20万円は自分で払ったから残りを用立ててほしいという。 お金を出す前に夫に伝えると言うと怒りだし、「兄さんに相談したら?」と聞いたら、「みっともないから知られたくない」と悲痛な声をあげた。(そのくらい自分で稼いでいるじゃない)という思いがよぎったが、(息子が最低なことをしたとネットで拡散されたらどうしよう)と思うと焦った。 電話をかけ直す暇も与えられず、窮状を並べたてられ、他の手立てが思い浮かばない。なんでもサッサと物事を処理するのを良しとする私の性格も裏目に出た。 今思えば、私が「取り返しのつかないことをしてしまったね。でも、あなたも彼女のこと好きだったのね」と言ったとき、受話器の向こうから不敵な笑いが聞こえていた気がする。 しかし、100万円もの大金は手元になかった。3年前に現役を退いた夫は、好きな料理を一手に引き受けてくれ、私は趣味や習い事に日々を費やし、年金でのんきに暮らしてきた。 蓄財はない。困った末に、一度も使ったことはないが、口座を持っている銀行のカードローンがあるのを思い出した。落ち着いたら次男が自分で返せる額だ。使ってはいけないお金だけど、少しの間拝借するだけならいいだろう。
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