NHKスペシャルで特集!「東洋医学」における重要な概念<経絡>。なぜその上のツボが体の部位や内臓の症状改善につながるのか
近年そのメカニズムが次々と科学的に解明され、注目を集めている「東洋医学」。2024年5月19日(日)放送のNHKスペシャルでも「東洋医学を〈科学〉する ~鍼灸・漢方薬の新たな世界~」と題し、研究の最前線が紹介されました。その番組制作に携わっていたのがNHKメディア総局でチーフ・ディレクターを務める山本高穂さんです。山本さんが、島根大学医学部附属病院にて臨床研究センター長を務める大野智さんと執筆、東洋医学の謎に迫った著書『東洋医学はなぜ効くのか ツボ・鍼灸・漢方薬、西洋医学で見る驚きのメカニズム』から一部を紹介します。 【図】手の太陰肺経。体内では胃から始まり、腕の内側にあるいくつかのツボを経由して、親指の先にあるツボで終わっている * * * * * * * ◆体を取りまく361種のツボ 鍼灸の話を進めるうえで、最初におさえておく必要があるのが「ツボ」です。 肩こりのツボ、腰痛のツボなど、皆さんの身近でもよく知られていると思いますが、正しくは経穴と呼ばれ、鍼灸治療にとって基本となる体の場所のことを指します。 実はツボにはさまざまな種類があるのですが、2008年にWHOが中心となって、361種のツボを標準経穴として公表し、それが世界中の鍼灸治療の基本となりました。 例えば頭の頂点付近にあり、ストレス改善などに使われる百会(ひゃくえ)。 また、背中のウエストラインにあり、腰痛改善効果があるとされる腎兪(じんゆ)。 そして、内くるぶしの少し上にあり、冷え症の改善に効果があるとされる三陰交(さんいんこう)など、全身にくまなく分布しています(図)。
◆「ツボ」が持つ2つの特徴 そして、ツボ、つまり経穴には2つの特徴があると考えられています。 ひとつは、心身に不調があるときに痛みなどが生じる反応点の役割です。医師や鍼灸師が患者のツボを触ったり押したりすることで、どんな症状がどの程度あるのかを確かめるなど、診察に欠かせないポイントとされています。 そして、2つめの特徴は、皆さんもご存知のとおり、治療点としての役割です。ツボに鍼を刺したり、お灸をすえたりすることで、痛みをはじめ心身のさまざまな症状を改善することができます。 さらに、ツボは人間だけでなく、動物でも確認されています。 鍼灸は中国の伝統医学に起源を持つとされていますが、人間への治療だけでなく家畜のケガや病気の治療にも用いられ、ツボの位置や効果などが詳しく調べられ体系化されています。そして現在でも、犬や猫などのペットの病気の治療やケアに、鍼灸やツボ押しなどを取り入れている獣医師も少なくありません。鍼灸のメカニズムに関する研究も、主にマウスやラットなどの動物のツボを使って実験を行っているのです。
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