小久保裕紀編 プロ2年目、王監督時代に「妥協しない選手」に 打撃・守備・練習でトップクラスの集中力も 試合が終われば普通の人
【ソフトバンク打撃投手・濱涯泰司氏が語る 歴代強打者の意外な素顔】 今季4年ぶりにリーグ優勝を果たしたソフトバンクを、チーム最年長の打撃投手として支えてきた浜涯泰司さん(54)。25年の裏方生活で接した歴代の強打者の中から、3人の意外な素顔にスポットを当てる。初回は現役時代から親交が深く、就任1年目に胴上げができた小久保裕紀監督(53)だ。 (山戸英州) 【小久保裕紀編】 ■監督の苦労を一切見せない ――侍ジャパン監督を退任後にホークスに戻り、1軍ヘッドコーチ、2軍監督を経て今季の胴上げに至るまで、小久保監督に変化はあったか 「1軍の監督に戻ってくるまでは、選手もどちらかといえば厳しい、怖いイメージを抱いていたと思うよ。今も厳しさは残っているけど、コミュニケーションをすごく取るようになった。1軍ヘッドコーチ時代は選手と会話する場面をほぼ見たことがなかったが、今は監督自ら選手に声をかける姿をちょくちょく見かけるようになり、すごく変わった。苦労も重ねたと思うけど、俺らにはそういうのは一切見せないね。今年の開幕前、『各持ち場でプロフェッショナルを貫いて』と訓示があったけど、彼らしいなと思った」 ――91勝49敗3分けで独走のリーグ優勝も、日本シリーズでDeNAに2勝から4連敗で敗れた 「個人的にも、先発が頑張れば優勝できる戦力だと思っていたら、その通りになった。去年も中継ぎ、打線はそれなりによかったからね。ただ、公式戦とポストシーズンは完全に別物よ。先取点、1点の重みが全然違う。戦況によって普段バントをやらない人にサインが出たりもするから、今回は一気に流れが変わってしまった。負けるなんて全く思ってなかったし、特に福岡で3連敗するなんて…。予想以上にDeNAの先発投手がよかったし、特に外国人投手にやられた」 ――自身の1年後に入団してきた当初から小久保監督はストイック? 「彼がプロ2年目のときに王さん(現球団会長)が監督に来られて変わった。打撃、守備、練習に一切の妥協がなく、今まで見たなかでトップクラスの集中力。キャンプではとにかく日が暮れるまでずっとロングティーをやっているから、若手は帰れない(笑)。ただ、試合が終われば普通の人。年も近く、選手時代はよく飲みに行ったよ。最近も休み明けの日に『きのうはゴルフ行ったんですか?』と聞かれて、スコアの話になったね」