Z世代は自己肯定感が低め？ 話題の“ほめちぎる自動車教習所” 「脱輪してもほめて伸ばす」で合格率アップ
「ほめちぎる教習所」としてZ世代から人気の三重県伊勢市の南部自動車学校。南部自動車学校の加藤光一さんは、「Z世代には、心理的安全性の中で自己肯定感を高めることが重要」と語ります。 具体的にZ世代に対して、どのようなほめ方を実践しているのか？ Z世代の若手社員を指導するビジネスパーソンは必読のインタビューです。
【加藤 光一 Koichu Kato】 南部自動車学校代表 大学卒業後、東京の商社や教習所での勤務を経て、1993年、30歳で地元の三重県伊勢市に戻り、父親が社長を務めていた南部自動車学校に入社し、現在は代表を務める。 2013年、「ほめちぎる教習所」として徹底的に「ほめる」ことを導入。 メディアにも多数取り上げられ、全国的な話題となる。
従来の「厳しい指導」はZ世代に通じない
生徒数は倍増、普通免許合格率10％アップ、卒業後1年間の事故率は半減──。「ほめちぎる教習所」としての方針を打ち出してから11年で、さまざまな数字を大きく改善してきたのが南部自動車学校です。 このようなブランディング戦略を導入した理由は3つあると南部自動車学校代表の加藤光一さんは語ります。 加藤「ひとつは若者の車への興味が薄れるようになり、免許証取得へのモチベーションが低下していること。ふたつめに、昔ながらの厳しい指導では、生徒が泣きだしたり、教習所に来なくなったりするようになったということ。 そして、少子化で教習所間で価格競争が生じるなかで、生き残りに新たなブランディングが必要だったことがあります」
「自分らしさ」を尊重され、高い平等意識を持ちながら育ったZ世代に対して、ガツンとした厳しい指導をしても、思うような効果が得られない。そこで取り入れたのが「ほめて伸ばす」という、それまでとは正反対の手法でした。 しかし、当時は今と違い「ほめて伸ばす」ハウツーはほとんどなく、アメリカのウェブサイトを参考にしたり、ほめるカードゲームを取り入れたりするなどして、自社で独自の勉強会を開くところからスタートします。 さらに設立したばかりの「日本ほめる達人協会」の講習を受けるなどしながら、毎日の朝礼に「ほめる」研修を導入。教習指導員などの社員同士がペアとなり、お互いをほめ合う時間を設けるようにしたのです。 加藤「頭ではほめることの理論的なことをわかっていても、行動に移すのはなかなか難しいものです。しかし、毎日、強制的にほめることを続けることで、ほめることへの『恥ずかしさ』を払拭することができました。 そうすると、次第に人に対してほめるための長所を見つけようと観察を始めるようになり、どんどんお互いにほめ合う文化が定着。3カ月ほどで社内のほめるスキルが飛躍的に向上していきました」
