「自分はすごい」と思わせるほめ方のコツ

自動車学校の生徒であるZ世代に対して効果的なほめ方をするには、彼らの特性を理解することも重要です。 加藤さんは、Z世代を①叱られたり注意されたりすることへの耐性が弱い、②上から押し付けられることを嫌う、③成果が見えないことに手を出さないと分析。従来の指導方法では、教習指導員が伝えたいことも素直に受け取ってもらえないと語ります。 そんなZ世代に響くほめ方とは、「相手の話に耳を傾けて、相手を認める」こと、「具体的な行動をほめるフィードバック」が何よりも大切です。そこで「ほめちぎる教習所」として次の4つのポイントを徹底しました。 【1】相手を認めてほめる 最初はとにかく「相手をほめる」ことを徹底し、どんなことでもほめるポイントを見つけてほめる。例えば、教習所に来ただけでも、「雨の日なのによく来たね」などほめ言葉をかける。 【2】目標設定を細かくし、クリアできたらほめる 細かい目標設定をして、それをクリアするたびにほめる。S字カーブを脱輪せずに通れたときはもちろん、S字に入る前の速度の落とし方、目の配り方、タイヤの位置というように目標を細分化。ただ「よかったね」と言うだけでなく、その具体的な行動をしっかりほめる。それにより生徒は自分が何をしたことで評価されたのかが明確に理解できるようになる。 【3】質より量にこだわったほめ方をする 目標を達成したタイミングを逃さず、ほめる量を増やす。できたその場で機関銃のようにほめちぎることで、生徒の成功体験を強化する。 【4】心理的安全性を確保する 「失敗しても大丈夫」「つまらないことでも質問できる」というムードをつくり、心理的安全性を確保。脱輪しても、「速度の落とし方はよかった」など、ほめシャワーを浴びせることで、生徒が萎縮しないようにする。言葉だけでなく、ほめるときの表情や口調も感情を込める。

失敗しても小さなできたことを見つけて必ずほめる（写真提供／南部自動車学校）

ただし、「ほめちぎる」とはなんでもかんでもほめればいいということではない、とも加藤さんは語ります。注意すべき点をしっかりと指摘しつつも、「できている部分」「ほめられること」を必ずすくい上げて、セットで伝えることがポイントになります。