【伊達公子】2025年の日本テニスは若手が一気に突き抜けられるか1度下がるかに注目<SMASH>
テニス界の2025年シーズンはすでに始まっています。今年は日本人選手たちがどんな活躍を見せてくれるのでしょうか。 【画像】2回戦で敗退も…華麗な特注ウエアで全米オープンを戦った大坂なおみを厳選ショットで紹介! 大坂なおみ選手は昨年に出産から復活して、自分の中で期待している部分とギャップが埋まらないところもあったと思います。でも、予想以上に良い状態にあるのではないでしょうか。出産後から復帰までの期間が短かったこともよかったのかもしれません。子どもがいることで、精神的な切り替えが嫌でもできる状況にあることが、プラスに働いているようにも思えます。 オフシーズンでどれだけ身体を作り上げてきたかにもよりますが、コーチを変えて気分も変わりますし、昨年にツアーでプレーすることに慣れたでしょうから、今年は期待できそうです。今は58位ですが、うまくかみ合えばその上も見えてくると思います。もう少し上に行くと壁にぶつかることもあると思いますが、それを乗り越えればトップ10の可能性も出てきます。 日本トップの内島萌夏選手は現在55位で、このぐらいの位置をずっとキープできています。ここからさらに上に行くには壁があるので、今年はどう大会をスケジューリングしていくかが求められてきます。ある程度、下との戦い方もわかってきているはずなので、自分の体調に合わせた大会選びがうまくできれば、トップ30も見えてくるでしょう。 あとは若手ですね。20歳の伊藤あおい選手が126位、18歳の齋藤咲良選手が150位、19歳の石井さやか選手が199位に入っていることは、日本女子テニスの明るい光となっています。ただし、ここから上がり切れずに、1度下がることがよくあります。内島選手もそれを経験しています。 下がらずに突き抜けられるかです。一番手っ取り早いのは、大きな大会でベスト8などに入って一気にランキングを上げることです。ただしこれには、運と実力が必要で、かならず叶うというわけではありません。その理想を求めすぎて大きな大会を狙いすぎると、負けが続いて落ちてしまいます。 落ちすぎると戻すのが大変なので、大きな大会に挑戦しつつ確実にポイントが取れる大会を組合わせることです。このバランスをうまく取れるかは、チーム力が問われる部分です。大きな大会にばかり出て結果がでないと、プレッシャーがかかってきます。そうなると、今までなら勝てていた試合にも勝てなくなります。 これは誰もが通る道です。悪い方向にはまることなく、一気に100位の壁を抜けてほしいですね。80位ぐらいまでいけると、グランドスラム本戦に入れますし、ドローが毎回悪いということもないでしょうから、チャンスが出てきます。今年は若手が一気に突き抜けられるか、1度下がるか、将来のキャリアを左右する重要な年になるでしょう。 男子でも昨年10月にプロに転向した18歳の坂本怜選手が楽しみですね。年末に四日市チャレンジャーで優勝しましたし、プロ1年目なので、勢いで行けるところまで行ってほしいです。 (※ランキングは2024年12月16日時点) 文●伊達公子 撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン