規制や不況と戦い生まれた、今日への礎──日本の名車100選【平成13~26年編】
昭和~平成を駆け抜けた国産名車たち〈その12〉
国産市販バイクが世界の頂点に上り詰めた昭和44年(1969年)から現代に至る50年の間に登場した”エポックメイキングなロードスポーツ”をテーマににお届けするシリーズ。今回は平成13~26年(2001~2014)、“規制や不況と戦い生まれた名車”をお届けする。 【写真】平成13~26年の国産名車 11選
究極性能先鋭型から、お手ごろパッケージのグローバル車が時代の寵児に
オーバー300km/h時代は外的要因もあって唐突に幕切れ、それでも高性能追求のやまなかったスーパースポーツだったが、スーパーバイク世界選手権のレギュレーション変更により、公道スポーツからスーパーバイクのベースマシンへと変貌していく。’04年がその大きな転換点となり、最強最速は時代の中心から外れていった。代わって登場してきたのは様々なジャンルのスポーツバイクで、TMAXやWR250R/Xなどは新たなジャンルを開拓したといっていいだろう。そして2008年にはリーマンショックが訪れ、ニューモデル開発は冬の時代を迎える。さらには2011年の東日本大震災……。 そのころに登場したのは、身の丈サイズのなかで限りなく面白いものを、というこの時代ならではの欲求に応えるマシンたちだ。価格もスペックも抑えながら、どうやってバイクを楽しむか。時代は大きく、大きく変わっていった。 平成13年にはアメリカ同時多発テロ事件が発生。映画『千と千尋の神隠し』が大ヒットした。平成14年以降は歩きタバコ禁止条例が採用されはじめるなど、世間の雰囲気が変わりはじめる。シアトル・マリナーズのイチローは毎年のように大活躍し、様々な記録を打ち立てた。
SUZUKI GSX-R1000──驚異のパワー/ウエイトレシオと懐の深さでスーパースポーツ第2章へ
R1の登場で戦国時代を迎えたリッタースーパースポーツ。残るスズキが満を持して’01年に投入したモデルがGSX-R1000だ。’00年型GSX-R750をベースとする軽量コンパクトな車体に、988㏄エンジンを搭載。当時最強の5代目CBR900RR(929RR)を8ps凌ぐ160ps、900RRと並ぶ乾燥重量170kgをマークした。パワーウェイト比は圧巻の1.06kg/psで、同ジャンルがより先鋭化する端緒となった。 心臓部はR750を基盤に、ボアを1mm、ストロークを13mm延長し、73×59mmに拡大。「Own The Racetrack」(サーキットの覇者)を標榜しつつ、ロングストロークの扱いやすい性格までも体現したのだ。そのインパクトは初代YZF-R1を超え、スーパースポーツの新基準になるほどだった。 【SUZUKI GSX-R1000 平成13(2001年】主要諸元■水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 988cc 160ps/10800rpm 11.2kg-m/8500rpm■170kg(乾)■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=190/50ZR17