清水草一氏に続き、高平高輝氏の自動車10大ニュース まずは注目の新型車が多数登場する10位~6位
ミニバンあり、窮境のスーパースポーツあり
数多く登場した新型車や欧州を端に発したEVの失速、特定のメーカーだけにはとどまらなかった型式認定の不正問題など、様々なニュースが駆け巡った2024年の自動車業界。その中から、気になった話題をピックアップし、ランキング形式でお伝えします。清水草一氏に続いて、選出するのはモータージャーナリストの高平高輝氏。まずは6位から10位の発表です。 自動車ライターの清水草一氏が選ぶ2024年自動車10大ニュース、10位~6位はコチラ ◆第10位 アジア生産車が次々上陸 昨年発表された2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤーの10ベストカー(最終ノミネート10台)の中にはアジア地域で生産された輸入車が4台選ばれていた。最終得点上位からスズキ・フロンクス(インド生産)、ヒョンデ・アイオニック5N(韓国)、BYDシール(中国)、三菱トライトン(タイ)である。10ベストには入らなかったが、フィットに続く売れ行きのホンダWR-Vも(ホンダ最新鋭という)インド工場製の輸入車である。かつては日産マーチや三菱ミラージュ、スズキ・バレーノなど、正直言ってコスト最優先でその代わり……というアジア製輸入車が多かったが、今では日本向けに改良後導入されており、そんな心配はいらない。ますます当たり前になっていくはずだ。 ◆第9位 マツダCX-80発売 マツダのラージ商品群の国内向け第2弾、CX-80が発売された。同じ後輪駆動プラットフォームとパワートレインを採用するCX-60で明らかになった不具合を改良するために、予定よりも1年ほど遅れての発売である。CX-60 は当初から乗り心地や多板クラッチ式ATのシフトショックなどの欠点が指摘されていたのだが、実際に発売直後からリコールが相次ぎ(2年で計9回にも上るという)、販売台数も低迷している。幸いCX-80は大幅に改良されているようだが、未完成の状態で発売に踏み切ったことは反省しなければならない。あとで改良されてもユーザーはおいそれと買い替えできないのである。 ◆第8位 ブレないマーレイのGMA T.50 今年の個人的イヤー・カーは本音を言えばGMA T.50である。ロック・スターのような風貌ながら(昔はジュネーブ・モーターショーなどでフラフラしている本人を捕まえることができた)超ストイックな、いい意味でのクルマ変態ゴードン・マーレイが、またも妥協を許さず、パーツのひとつひとつまで徹底的にこだわり抜いた超軽量コンパクト・ボディに、1万回転以上回る自然吸気V12をミドシップしたスポーツカーである。しかも“ファン”付き。あれほど削ぎ落としているのに、相変わらずファンカーは諦められないんだな、とニヤッとする。すでに日本にも上陸しているようだが、まだ乗るチャンスがないので来年以降のお楽しみだ。 ◆第7位 ホンダ・フリードがカー・オブ・ザ・イヤー受賞 今回で45回目を迎えた2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤーにはホンダのコンパクト・ミニバンであるフリードが選ばれた。ホンダ車の受賞は2010年のCR-Z以来14年ぶりという。最終的にノミネートされた10台の中から、フリードは「使い勝手の良さと動的質感の高さ、ホンダらしい操縦する喜び」が評価され、選考委員59名による投票で計220点を獲得して受賞した。続く2位は196点を獲得したマツダCX-80、3位は172点を集めたミニ・クーパー(インポート・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞)だった。 ◆第6位 ガソリン暫定税率の廃止なるか 期間限定の特別な税金だからこそ「暫定」とされていたにもかかわらず、延長に延長を繰り返してもう50年。もはや暫定も本則もあったもんじゃない、と誰もが諦めていたガソリン暫定税率が今度こそ本当に廃止されるかもしれない。年末に明らかにされた令和7年度与党税制改正大綱にはガソリン暫定税率の廃止が明記されたのだ(ただし時期は明らかではない)。上乗せ分がなくなれば、ガソリンはリッター当たり25.1円、軽油は同じく17.1円引き下げられる計算だ。無論これまでの経緯を知る人はにわかには信じられないだろう。穴埋めのために新たな税金の導入などは十分にあり得る。注視が必要だ。 文=高平高輝 (ENGINE WEBオリジナル)
高平高輝