松重豊の“もぐもぐ姿”にファン歓喜!『劇映画 孤独のグルメ』釜山国際映画祭に登壇、サプライズ発表も
松重豊が主演を務め、2012年より放送スタートしたドラマ「孤独のグルメ」が、『劇映画 孤独のグルメ』となって2025年1月10日(金)より公開される。このたび、本作が第29回釜山国際映画祭の「オープンシネマ部門」に正式出品。監督、脚本、主演を務めた松重がオープニングセレモニーに登場した。 【写真を見る】松重が「ユ・ジェミョンさんにご飯をご馳走してもらいました!」とお礼を伝える微笑ましい場面も 本作は原作の久住昌之、作画の谷口ジローによるハードボイルドグルメ漫画が原作。輸入雑貨商を営む主人公、井之頭五郎(松重)が、営業先で訪れた土地で見つけた食事処にふらりと立ち寄り、食べたいものを独り自由に食す様子を1話完結で淡々と描いていく。作中で登場する店は高級店や流行りの店ではなく、街に溶け込むように年月を重ねた大衆食堂や個人店がほとんど。五郎が独りで食事を楽しむ様子が自身のモノローグと共に描かれるスタイルが話題となり、松重演じる五郎の大胆な食べっぷりや心の声が大勢の共感を呼び、その魅力にハマる人が続出した。 第29回釜山国際映画祭は、現地時間10月2日~11日(金)の10日間で実施中。松重が登壇した記念すべきオープニングセレモニーの会場は、映画祭のメイン会場である「釜山シネマセンター(通称:映画の殿堂)」。セレモニー前に松重は、「海を越え、アジア最大と言われている釜山国際映画祭で、自分が撮って出演した作品が出品されたことは非常に名誉なことだと思っています。そして、(自身の出身が福岡のため)身近に感じていた釜山でこの作品のお披露目をできるのは、ある意味“運命の巡り合わせ”だとも感じます。映画祭を楽しみたいです!」とコメントしていた。 世界中から集まった監督、俳優などの映画人らが次々と登場し、観客のボルテージも上昇していくなか、松重が「孤独のグルメ」らしく“もぐもぐ”しながらレッドカーペットへ足を踏み入れる。「ゴロウサーン!」、「マツシゲサーン!」など現地ファンからの熱い歓声を浴びながら、「監督兼俳優である“五郎さん”松重豊の入場です!」とアナウンスされるなど、韓国で五郎さんというキャラクターがいかに浸透しているかがよく伝わってくる。この大歓迎のムードには、松重も「こんなお祭りに参加できてうれしい!!」と興奮冷めやらぬ様子だった。 現地時間3日に実施されたのは、映画祭公式イベントの1つである「オープントーク」。映画祭名物の野外ステージにて、監督や俳優が登壇し、現地で有名なコメンテーターをMCに迎えトークショーが行われる。ここにも参加した松重は、約50分間にわたり作品について、監督、主演という2つの目線でトークを繰り広げた。 MCから『劇映画 孤独のグルメ』を作るにあたっての想いを問われると、松重は「料理を美味しく食べることだけで、アジアからこんなにも愛されるドラマになったことは奇跡だと思います。だから、アジアの懸け橋になるようなストーリーにしたいと思い、作りました。そして何より、これだけ長くやってこれたのはファンのみなさんのおかげなので、ファンに納得してもらう作品を届けないといけないと思っていました」と本作に込めた想いを真摯に説明する。 さらに、「レッドカーペットを歩いている時に、なにかを食べていたと思いますが…?」とも聞かれると、「ネタバレになってしまうから言えないけれど、実は、映画の中で重要なモチーフになっている物を食べていました。本編を観て、これを食べていたのか!と思ってもらえたらうれしいです」と少しストーリーのヒントを交えながら回答。また、「レッドカーペットに降り立った時、作品ならではの“孤独カット”を演出してみました。お気づき頂けましたか?」と演出の種を明かし、会場が笑いに包まれる一幕も。作品に懸けた想いと、ユーモアを交えながら緩急をつけた、松重らしい様々なエピソードを披露し、会場を大いに盛り上げていた。 オープンシネマ部門として上映される今回がワールドプレミアとなる本作。世界で一番最初に作品を鑑賞する観客を前に、松重が「こうしてみなさんの前でお披露目することができるのが本っ当にうれしいです!みなさんの反応をこれからの励みにしたいと思います!」と喜びの気持ちを語るなか、あるサプライズ発表が。大人気ドラマ「梨泰院クラス」にて、主人公の因縁の相手であり、飲食業界のトップに君臨する大企業「長家(チャンガ)」の会長、チャン・デヒを熱演したユ・ジェミョンがステージに登場。なんと、本作に特別出演していることが登壇をもって解禁となった。 「この作品を愛してくれる方が韓国にたくさんいること知り、劇映画にする上で韓国を大きな舞台として考えたいと思いました。シナリオを考える上で、言葉の壁を越え、友情が芽生える作品にしたいと思った時に、この人しかいないと恋焦がれて出演していただきました」と、ジェミョンの出演を熱望していたことを明かす松重。一方のジェミョンも、「『孤独のグルメ』は独特で、愉快で、素敵な作品だと思って楽しく見ていました。だから本作のオファーをもらったことに非常に驚いたけれど、感謝の気持ちで受けることにしました」と話し、「撮影中も松重さんは親切に説明してくれて、幸せな思い出になりました」と出演への想いを熱く語っていた。 続けて、松重が「ユ・ジェミョンさんにご飯をご馳走してもらいました!」とお礼を伝える場面では会場からも歓声が。最後の挨拶でジェミョンは「今日は釜山に着いてすぐミルミョンを食べ、明日の朝はデジクッパを食べる予定です。釜山はまさに美食家の街だと思います。みなさんの幸せな笑顔を見ることが出来てうれしいです」と、釜山グルメに絡めた感想をお茶目にコメント。そして、松重からは「食べ物を通して、人と人との心の触れ合いや愛情を感じてもらえる作品にしたつもりです。でも、気持ちが温かくなったけれど、『孤独のグルメ』らしくお腹がすいた!という作品にしたいとも思っています。きっと観終わった後はお腹がすくと思うので覚悟してください!」と松重節を効かせたユーモラスな言葉で締めくくっていた。 映画祭公式行事の合間に釜山を観光していた松重は、2020年にオープンした韓国南部、海雲台(ヘウンデ)のLCTランドマークタワー内にある人気展望台「釜山 X the sky(プサン・エックス・ザ・スカイ)」を訪問。釜山で1番目に高いこの展望台は、標高441.6メートル、100階建てのフロアから釜山の海や山、市街地を一望できる人気スポットだ。展望台から望む絶景を眺めたり、床が強度ガラスで作られた「ショッキング・ブリッジ」の上から、地上を見下ろしたりと、釜山の新名所を楽しんでいた。 また、韓国を代表するビーチ「海雲台ビーチ」も訪れ、つかの間のリラックスタイムを堪能。そして、「孤独のグルメ」と言えば欠かすことができないのは、やはり美味しい料理。海雲台ビーチの近くにある市場「海雲台伝統市場」にも足を運んでいる。この市場は、1910年代に発祥したとされる歴史の古い市場。「まずは胃袋の意見を尊重したい」という五郎のように、食べてみたい料理を探し求め、新鮮な食材や出来立ての惣菜の並ぶ屋台や、韓国伝統料理を味わえるお店が立ち並ぶ市場内を散策する。最終的にはムルトックという餅をおでんの出汁で煮た釜山名物料理や、市場でも人気のハチミツをかけたアイスなど、釜山グルメを存分に満喫していた。 今回サプライズで出演が発表されたユ・ジェミョンが演じるのは、韓国領に迷い込んだ五郎の入国手続きを行う韓国入国審査官。五郎の物語に、いったいどのように関わり、彼を振り回すのだろうか? そして、ユ・ジェミョンに加えて、すでに出演が発表されている内田有紀、磯村勇斗、村田雄浩、塩見三省、杏、オダギリジョーの総勢7名の豪華キャスト陣が総出演する90秒の最新予告映像も解禁に。 千秋(杏)と一郎(塩見)から“スープ探し”の依頼を受け、フランス、韓国、日本と世界中を駆け巡ることになる様子が映し出される。さらに、長崎・五島列島も舞台になることが明かされるのだがなにやら雲行きは怪しく…。「おかしいな…。これはちょっとマズイな…」というセリフからも五郎に最大の危機が訪れることがわかる内容となっている。五郎にどんな危険が降りかかるのか?ただのスープ探しの旅ではなかったのか? スケールアップした吾朗の旅とグルメが描かれる『劇映画 孤独のグルメ』。さらなる続報と共に年始の公開を心待ちにしたい。 文/平尾嘉浩