「IH対応土鍋」なのに「IH使用不可」なぜ?家電メーカーの見解 一律NGや〝SGマーク〟基準の場合も
IHクッキングヒーターの取扱説明書に<“「IHで使える」と表示している土鍋を使わないでください”と書かれていた>というポストが12月、SNSに投稿され、大きな注目を集めました。「IH対応土鍋」を「IHで使用不可」としているメーカーがあるのはなぜなのでしょうか。複数の家電メーカーを取材しました。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎) 【画像】どういうこと?「IH対応土鍋」でも「IHで使用不可」 実際の各社の取扱説明書の表示
IH対応なのにIH使用不可、なぜ?
12月上旬、X(旧Twitter)で、IHクッキングヒーターの取扱説明書に<“「IHで使える」と表示している土鍋を使わないでください”と書かれていた>という趣旨の投稿が大きな注目を集めました。この投稿は約2万回リポストされ、これまでに約2000万回閲覧されています。 卓上などで火を使わずに加熱調理ができることで人気のIHクッキングヒーター。これからの季節は鍋の需要も高まりますが、その調理器具である「IH対応土鍋」を「IH使用不可」としているメーカーがあるのはなぜなのでしょうか。複数の家電メーカーを取材しました。
一律NGにする有名メーカーも
アイリスオーヤマ株式会社は、IHクッキングヒーターで「IH土鍋の使用を推奨はしない」と回答しました。取扱説明書には「市販の土鍋は『IH用』と表示されていても使わないでください」「なべを認識できなかったり、うまく加熱できないことがあります」と記載されています。 広報担当者によると、「IH土鍋は陶磁器に金属製の発熱体を何らかの方法で取り付けてIH器具で使用できるようにした製品と認識していますが、鍋の製造メーカーにより使用している発熱体の仕様等が異なり、使用できない製品が存在する可能性がある」とのこと。「すべてのIH対応土鍋において必ず反応を保証できないため推奨はしておりません」としています。 海外メーカーのティファールも、「IH用の土鍋の使用を推奨しておりません」と回答。その理由についてこう説明します。 「そもそも土鍋と(IHで使用できるようにするために使用される)金属は熱膨張率などが異なるため、『IH用土鍋』は通常の鍋やフライパンとは異なる素材や構造で『IH用』にする必要があります」と説明。 「その全ての素材、構造を持つIH用土鍋で、ティファールの卓上IHの動作確認/検証することが難しく、卓上IHのパフォーマンスを保証できないためです」としています。 三菱電機は、公式サイトで「『IH対応』や『電磁調理器対応』などと表示されていても、IHヒーターではご使用しないでください」と記載しています。 広報担当者によると、「鍋の材質や鍋底の形状・サイズによっては火力が入りにくく、本体の電子部品に負荷がかかり故障の原因になる場合や、底面の脚部やざらつきによってトッププレートに傷をつけ、破損や汚れの原因になる場合があります」とその理由を説明しています。